Japanese Society for Palliative Medicine
News Letter No.44
日本緩和医療学会ニューズレター
Aug 2009  44
学会印象記
11th Congress of EAPC in Vienna 2009
千葉県立保健医療大学  安部 能成
 さる5月7日から10日にかけて、ハプスブルグ家の本拠地であったオーストリアのウィーンで、2年に一度開催される欧州緩和ケア会議(European Association of Palliative Care: EAPC)の第11回大会が開催された。好天にも恵まれ、世界50カ国から3,000人以上の参加者を得て、会場となったオーストリアセンターは大盛況であった。公式抄録集によれば、基調講演が12、テーマ別の口述セッションが26、自由討議が14、2日間のポスターセッションでは935演題が予定されていた。
 前日のプリ・ミーティングから参加する機会を得て、筆者は「パリアティヴ・ケアにおける理学療法(physiotherapy)」のセッションに加わった。2003年の第8回大会からリハビリ部門のセッションが開始されたが、参加国、参加者とも拡大の一歩をたどり、前回の約3倍の90名が集った。専用のパンフレットや参加証書も用意され、基調講演、パネル発表、ポスター発表と、ここだけでも一応の形が整っているのには驚かされた。
翌日の開会式にはスウェーデンの女王陛下をお迎えし、オーストリアの保健大臣も出席して、格調高く開会された。このような形式は、開催国の緩和ケアのプロモーションにも効果的であろう。
 EAPCの活動に接して感心させられるのは組織的活動の巧さである。開催地の緩和ケアの向上に寄与している証拠に、開催後の発信が確実に増えている。前会長はフランス、今期の会長は、本学会にもお迎えしたドイツ人のラートブルーフ教授である。開催地も、ドイツ(現会長のお膝元のアーヘン)、ハンガリー(現会長への交代)、オーストリアと巡り、どちらかというと低調であったドイツ語圏の緩和ケアが活発になり、演題発表数も伸びてきている。
 さらに注目されるのは、国際協力によるワーキンググループ(European Palliative Care Research Collaborative: EPCRC)の活動で、がん性疼痛(Cancer pain)、抑うつ(depression)、がん悪液質(Cancer cachexia)という主要テーマについて、EAPCが音頭を取って共同研究に着手しており、その一部は本学会でも発表されていた。
 出国前の日本では新型インフルエンザの影響が伝えられていたが、現地ではテレビニュースにも出ないほどで、会場でマスクをかけている東洋人は日本人だと分かるくらい、であった。
閉会式では学術大会が2010年にスコットランドのグラスゴーで、次期大会が2011年にポルトガルのリスボンで開催されることがアナウンスされて閉幕した。

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