Japanese Society for Palliative Medicine
News Letter No.44
日本緩和医療学会ニューズレター
Aug 2009  44
Journal Club
日本における緩和ケア:病期による導入から苦痛の程度による導入へ
筑波メディカルセンター病院 緩和医療科
神谷 浩平、久永 貴之、志真 泰夫
Morita T, Miyashita M, Tsuneto S, Shima Y.Palliative care in Japan: shifting from the stage of disease to the intensity of suffering. J Pain Symptom Manage. 2008 Dec ;36(6):e6-7. Epub 2008 Nov 1.


 日本における緩和ケアの位置づけは『終末期ケア』から『苦痛の緩和』へと変化しつつある。
 1990年、厚生省が緩和ケア病棟を健康保険上に制度化したことにより、日本国内の緩和ケア病棟数はそれまでの5施設から177施設(2008年)にまで飛躍的に増加した。
 しかし緩和ケア病棟の患者の家族を対象とした全国規模の調査によって、約半数が緩和ケアへの紹介が『遅すぎた』と感じており、85%が入院前から身体的苦痛があったと感じていたことが明らかとなった。
 これらの調査結果が2007年4月のがん対策基本法の施行につながった。同法施行にあわせて緩和ケアの定義が見直され、病期ではなく苦痛の程度による緩和ケアの導入が推奨されるようになった。また、厚生労働省は全国353の地域がん診療拠点病院に緩和ケアチーム設置を義務付け診療報酬加算を設定した。
 われわれは政府のこれらの政策を歓迎し、より多くの患者が適切な緩和ケアを受けられることを期待している。今後は専門的緩和ケアを受ける患者の増加や、病院や診療所での症状緩和技術の向上、より早期からの緩和ケア病棟の利用増加などが予測される。数年のうちには全国規模の調査結果に基づき主要な変化について報告する予定である。
【コメント】
 本報告は体裁こそ学術誌編集部への簡潔なletterであるが、その内容は過去20年間のわが国の緩和ケアの量的かつ質的な変化についての適切な報告となっている。わが国から世界への、今後の目標を見据えた上での時機を得た報告として意義ある投稿である。

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