Japanese Society for Palliative Medicine
News Letter No.44
日本緩和医療学会ニューズレター
Aug 2009  44
口演8
アセスメント・QOL
座長・報告  立命館大学 総合理工学院 生命科学部  下妻 晃二郎
座長  株式会社緩和ケアパートナーズ  梅田 恵
 今回の学会では演題を厳選した効果か、全体的に質が高い発表が多かった。本セッションの概要を報告する。
 8-1は、緩和ケア患者用QOL調査票であるEORTC QLQ-C15-PAL日本語版の、終末期患者を対象とした信頼性検証に関する発表であった。オリジナルのがん一般用調査票、C30を緩和ケア用に15問に短縮したものである。本研究で信頼性が高いことが証明された一方で、スピリチュアリティなどの緩和ケア特有の概念の網羅性など、妥当性に関する更なる検証の必要性が会場からの質問を通して明らかになった。
 8-2は、肺癌病棟における緩和ケアカンファレンスの効果をSTAS-Jを用いて経時的に評価した発表であった。患者・家族の病状認識、医療スタッフの職種間や家族とのコミュニケーションは改善していたが、痛み以外の症状コントロールと不安の解消が今後の課題とされた。カンファレンスの真の効果を理解するために、今後対照群を設定した検討が望まれる。
 8-3は、終末期がん患者における口腔内環境と口腔ケアの効果に関する発表であった。病気そのものあるいは治療の影響で、緩和ケア対象のがん患者は口腔内が乾燥し、雑菌などが繁殖することが多く、口腔ケアの重要性が改めて認識された。栄養と嚥下の改善には他の手段が必要であることも示唆された。
 8-4は、保険薬局における電話モニタリングと受診前来局指導による症状緩和の試みに関する発表であった。昨今の医療環境の悪化に伴う診察時間の短縮や、処方期間の延長による医師へ相談時間の減少のカバーや、詳細な服薬指導における臨床薬剤師の役割の重要性が示唆された。
 8-5は、終末期のバイタルサインの頻繁な測定の意義を問い直す意義深い発表であった。看護師に限らず、このような根本的な業務内容の見直しにより、医療資源の効率的な活用による質の改善(本来必要な業務に集中できる)に繋がる可能性を示した発表であった。
 8-6 は、在宅ケア患者の家族の不安の解消における点滴の意義について、8-7は、血液検査データの予後予測指標としての意義について、8-8は、肝細胞癌骨転移患者の脊椎転移による麻痺に対するより積極的な治療を勧める発表であった。

Close