Japanese Society for Palliative Medicine
News Letter No.44
日本緩和医療学会ニューズレター
Aug 2009  44
教育講演4、5、6
座長・報告  滋賀県成人病センター 看護部  吉田 智美
兵庫医科大学 外科学講座  冨田 尚裕
 教育講演4〜6は、3名の海外からの演者による世界的な視野での、緩和医療における重要なトピックスに関する学びの場であった。
 教育講演4は、カナダのアルバータ大学准教授のSharon Watanabe 氏による『エドモントン症状評価法(ESAS)〜緩和ケアでは患者をいかに評価するか〜』であった。1991年に開発されたESASについて有効性の確認のため包括的文献レビューを行い、尺度開発に関する13の文献を検討後、定性的に検討された結果、改訂版ESAS(ESAS-r)が作成された経過が解説された。改訂版は、項目の定義付記などにより使用者にとってより使いやすいとの評価を得ていた。今後は、臨床経過の記載、患者コンサルテーションの際の共通言語、外来初診時のスクリーニングとして広く使用することを推奨したいとの発表であった。フロアからは臨床使用の多いKPSとの関連の有無などについて質問があり、現在は未確認であるとの回答であった。
教育講演5は、韓国カソリック大学、ソウル聖マリア病院腫瘍内科学教授のYoung Seon Hong氏による『緩和ケアにおける事前指示』であった。事前指示(Advance directives)の発端となった韓国最高裁での生命維持装置停止を安楽死と称した判例から近年の医療の発達に伴うdyingの意味の変化や英国、米国、シンガポール諸外国の法律制定の現状提示を踏まえ、例外的治療手段については、選択の権利はあるが、区別して考えるべきであろうという発表であった。フロアからは、容認可能な安楽死はあるか、社会的な合意との関係についてなどの質問があった。また、フロアからのカナダでの現状紹介・問題提起に対して招待演者も交えて国際的な意見交換となった。
 教育講演6は、豪州のモナッシュ大学教授のMargaret O'Connor氏による「緩和ケアと死別支援サービス」であった。ホスピス・緩和ケアにおいて重要な死別支援サービスに関する米国、英国、豪州の国際比較の研究成果から予算不足や専門スタッフの人材不足などの問題が提示され、今後の課題として、検証されたツールの使用拡大、ガイドラインの遵守、サービスの優先順位の決定、費用対効果の確認、ボランティアの有用性検証などが提案された。
 各講演30分という限られた時間において、各演者の計らいでフロアとの意見交換ができたことで、双方向の対話となり、聴衆にとっては身近な事象として講演内容を理解することができたであろう。世界的視野で日本の実践を理解する良い機会であったと考える。

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