Japanese Society for Palliative Medicine
News Letter No.44
日本緩和医療学会ニューズレター
Aug 2009  44
パネルディスカッション3
いかに身体症状に対応するか
座長・報告  和歌山県立医科大学附属病院 集学的治療・緩和ケア部
月山 淑
座長  近畿大学医学部付属病院 がんセンター  小山 富美子
 疼痛以外で終末期に出現する頻度が高い身体症状として呼吸困難と消化器症状を、またその身体症状が治療抵抗性な時の苦痛緩和の方法として鎮静を取り上げた。演者はそれぞれ学会ガイドライン作業部会の責任者であった。各症状共に臨床現場でよく見られるような症例を2〜3例呈示して「考える過程」を重要視し、聴衆の皆さんにも一緒にアセスメント→マネジメントを考えていただけるように工夫したつもりである。「呼吸困難」担当の田中桂子先生からのメッセージは、1.呼吸困難≠呼吸不全、2.最終ゴールは「呼吸困難の緩和」(つらさの緩和)であって「呼吸不全の緩和」(数字の改善)ではない、3.個別性の高い治療・ケアのアプローチ=エビデンスの確立された「標準的治療」+経験的に有効だと思われる「臨床的知恵」が必要だということだった。「消化器症状」は嘔気・嘔吐に焦点をあてて新城拓也先生が、1.消化管の異常だけが嘔気嘔吐の原因ではない、2.がんの存在そのものが嘔気嘔吐の原因となりうる、3.嘔気嘔吐の作用点、薬理作用を考えて、治療薬剤を選択する、4.手術できない消化管閉塞(イレウス)には薬物療法を、5.口渇の緩和を目的に経鼻胃管を挿入して自由に飲む、6.食べること、経鼻胃管の挿入について、必ず患者の考えを問うということを教えてくれた。「鎮静」において大切なことを池永昌之先生が、1.治療抵抗性の苦痛であることの判断、2.患者・家族への鎮静の説明と意思確認、3.適切で安全な鎮静の実施、4.鎮静後のケアの4つにまとめて下さった。これらに対して月山と一緒に座長を務めて下さった小山富美子さんが、ナースが日頃医師に聞きたいと思っていることを代表して質問してくれた。さらに、日常のナーシングケアによる症状緩和、患者・家族への心理的サポートについて補足して下さった。皆さん、時間は厳守、質問も回答も的を得たもので座長はたいへん楽をさせていただいたのに、すばらしいセッションになったと自負している。

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