Japanese Society for Palliative Medicine
News Letter No.43
日本緩和医療学会ニューズレター
May 2009  43
施設訪問記
カナダ・アルバータ州エドモントンの地域緩和ケア研修を受けて
愛媛大学:長櫓巧、福原竜治、光井綾子、新居由香、武智健一
香川大学:宮脇有紀、光岡妙子、片山陽子
徳島大学:長尾妙子、川中崇
岡山大学:長江弘子、名倉弘哲、斎藤信也
 今回、文部科学省の事業である「がんプロフェッショナル養成」プログラムの一環として、平成21年1月5日から9日までの5日間、カナダ、アルバータ州エドモントンにおいて、地域緩和ケアシステムについて学ぶ機会がありましたので、その一部を紹介させていただきます。
 エドモントンは広域では100万人の人口を有する都市であり、この広い地域をカバーしている地域緩和ケアプログラムの主要なリソースとして、まず、高次緩和ケア病棟(20床)が挙げられます。医師も常勤で3人(他にフェロー、レジデント)を要し、緩和ケアのICUといっても良いような形態で、基本的には他の施設ではコントロール困難ながんの症状、例えばがん性の疼痛や呼吸困難などをコントロールし、再びその施設に帰るあるいは、在宅に移行することを目的としています。これとは別に4施設にあわせて59床のホスピスがあります。次にロイヤル=アレクサンドラ病院とアルバータ大学附属病院という大規模病院にそれぞれ、緩和ケアのプログラムがあり、専任の医師が1人ずついます。特に後者は北米有数の循環器疾患センターを有する病院の性格上、末期心不全患者の緩和ケアのコンサルトも積極的に行っていました。例えば末期の心不全患者からICD(自動除細動器)を取り外すべきかどうかという倫理問題など、心臓患者の緩和ケアという新しい分野を垣間見ることができました。また、エドモントンで唯一のがんセンターであるクロスがん研究所病院にも緩和ケア外来があり、がん治療中の患者に対する各種サポートを行っています。もうひとつCCT(Community Consulting Team)と呼ばれるユニークなチームには4人の緩和ケア専門医4人の看護師が、エドモントン地区を飛び回って、家庭医が行う緩和ケアのバックアップをしています。
 最後に特筆すべきは、これらの地域緩和ケアシステムを支えている緩和ケア専門の医師は計10人であり、彼らは全てアルバータ大学腫瘍学教室緩和ケア部門に属し、共通のカンファレンスを行い、共同でオンコールに対応している点です。エドモントン地区全ての週末のオンコールをこの10人のうちの1人が交代で当たっており、エドモントンの緩和ケア患者は在宅であろうが、ホスピスに入院していようが、すべてこれら10人の医師の間で情報が共有されることになります。こうしたシステマティックな対応はわが国でも参考になると思われました。
 今回研修に参加したメンバーは、看護師4名、ホスピス医1名、精神科医1名、麻酔科医3名、放射線科医1名、外科医2名、薬剤師1名の混成であり、それぞれの専門領域についても朝早くから夜遅くまでみっちりと研修を受けましたが、それについての報告は別の機会に譲りたいと思います。 (文責:岡山大学 斎藤信也)

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