Japanese Society for Palliative Medicine
News Letter No.43
日本緩和医療学会ニューズレター
May 2009  43
Journal Club
転移を有するがん患者に対する緩和ケア外来(OPCC)の効果
:Phase II Study.
東京大学成人看護学/緩和ケア看護学  宮下光令
Follwell M, Burman D, Le LW, Wakimoto K, Seccareccia D, Bryson J, Zimmermann R. Phase II Study of an Outpatient Palliative Care Intervention in Patients With Metastatic Cancer. J Clin Oncol 2009; 27(2): 206-13.

【目的】
 がん患者にはタイムリーな症状コントロールが必要であるにもかかわらず、外来での緩和ケア介入に関しては殆ど研究が行われていない。本研究では、緩和ケア外来(Oncology Palliative Care Clinic: OPCC)のがん患者に対する症状改善や満足度に関してその有効性を前向きに検討した。
【方法】
  OPCCに新規に紹介された転移を有するがん患者を対象とした。適格基準は18歳以上で英語を十分に読む、話すことができ、インフォームドコンセントが取れ、質問に回答できるものである。主要評価項目は症状に関してESAS(Edmonton Symptom Assessment Scale)と満足度として患者用に改変したFAMCARE(Family Satisfaction with Advanced Cancer Care)である。これらのデータはベースラインと1週間後、1カ月後に収集された。統計解析は対応があるt検定によってなされた。
【結果】
 150人の患者が適格となり、123人の患者で1週間後、88人の患者で1カ月後のアセスメントがなされた。ベースラインではESASのDistress Score(DES)の平均は39.5であった。1週間後のEDSの改善は8.8ポイントであり(P<0.0001)、1カ月後では7.0ポイントであった(P<0.0001)。疼痛、倦怠感、嘔気、抑うつ、不安、傾眠傾向、食欲不振、呼吸困難感、不眠、便秘に関して1週間後(P≦0.05)、1か月後に統計的に有意な改善があった(P≦0.05)。FAMCAREの改善の平均は1週間後で6.1ポイント(P<0.0001)、1カ月後で5.0ポイント(P<0.0001)であった。
【結論】
 今回のPhase II StudyではOPCCの症状緩和とケアに対する満足度の有効性が示された。外来における専門的緩和ケアの有用性を評価するための無作為化試験による評価が必要である。
【コメント】
 わが国では緩和ケア外来は緩和ケア病棟を中心として発展してきた。しかし、最近ではがん診療連携拠点病院の整備に関する指針にも外来にて専門的な緩和ケアを提供する体制を整備することが明記され、専門緩和ケア外来が設立されつつある。海外においても専門緩和ケア外来の発展は最近のことである。本報告はカナダのある緩和ケア外来の有用性を患者の視点から評価したものである。状態が悪化しつつある患者に対し、高いデータ収集率と有意な改善効果を認めたことは意義がある。外来コンサルテーションは初回に90-120分の時間をかけ、看護師やMSW、精神科医などによる多職種ケアが行われている。また、この調査では在宅医や訪問看護師からの紹介が多いのも特徴である。通常の外来におけるケアに対する専門外来の優位性に関しては著者らが現在進行中の無作為化試験の結果を待ちたい。わが国においても専門緩和ケアとしての多職種による外来緩和ケアのより一層の充実と地域ケアとの連携が必要である。

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