Japanese Society for Palliative Medicine
News Letter No.42
日本緩和医療学会ニューズレター
Feb 2009  42
Journal Club
がん患者の慢性的な不眠に対する認知行動療法の臨床効果の
無作為化比較試
東京大学大学院医学系研究科 成人看護学/ 緩和ケア看護学分野  梅内美保子
Randomized Controlled Clinical Effectiveness Trial of Cognitive Behavior Therapy Compared With Treatment As Usual for Persistent Insomnia in Patients With Cancer Colin A, Espie, Leanne James Cassidy, Leslie Samuel, Lynne M. Taylor, Craig A. White, Neil J. Douglas, Heather M. Engleman, Heidi-Louise Kelly, and James Paul J Clin Oncol. 2008 OCT 1 : 26(28): 4651-4658.

【背景】
 不眠はがん患者の19-30%に認められるが、見過ごされたり管理が不十分なことがある。認知行動療法は不眠に対する効果が認められているが実践的な研究は行われていない。
【目的】
 オンコロジーナースによって提供された不眠に対する認知行動療法の臨床効果を調査する。
【方法】
 乳がん・前立腺がん・大腸がん・婦人科がんの積極的治療を終えた150名の患者(女性103名、平均年齢61歳)を介入(認知行動療法)群とコントロール群(通常ケア)群に無作為に割り付け試験を行った。研究はCONSORTガイドラインに従って行った。主要評価項目はベースライン、介入後、6ヶ月のフォローアップ後での睡眠日記の測定である。副次評価項目はアクチグラフ、Functional Assessment of Cancer Therapy Scale-general(FACT-G)、Hospital Anxiety and Depression Scale(HADS)、Fatigue Symptom Inventory(FSI) である。介入群への認知行動療法はプロトコールをマニュアル化した後、スモールグループ(4〜6人)でのセッション(1回50分)が週1回、合計5回が連続して行われた。コントロール群は通常の臨床実践を受けた。
【結果】
 介入群は変化のなかったコントロール群と比較して一晩で55分不眠を減らし、この結果は介入の6か月後も持続した。標準化した効果の大きさは入眠困難、中途覚醒、睡眠の効率で大となった。認知行動療法は日中の倦怠感を有意に減らすことを含む7つのQOLアウトカムのうち5つに効果の大きさが中〜大となること関連していた。これらのアウトカムとベースラインでのデモグラフィック、臨床背景、睡眠の特徴との関連では有意差はみられなかった。
【考察】
 この研究で認知行動療法は、入眠までの時間と夜間の覚醒の回数の患者の主観評価に対し効果の大きさを認め、臨床的に効果があることが示された。
【コメント】
 先行研究に対してこの研究では、対象とするがんの種類を増やし、心理学者ではなくトレーニングされたオンコロジーナースが認知行動療法を行うという方法をとることで臨床での実現可能性と効果を強調している。オンコロジーナースが認知行動療法を行うことが最善かどうかは検討の余地があるが、実際の臨床場面での利用の可能性の点からは興味深い研究である。

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