Japanese Society for Palliative Medicine
News Letter No.42
日本緩和医療学会ニューズレター
Feb 2009  42
Current Insight
日本における緩和ケアの現状と緩和ケア普及のための地域プロジェクト
(OPTIM Study)
東京大学大学院医学系研究科緩和ケア看護学/ 国立がんセンター東病院看護部  山岸暁美
Yamagishi A, Morita T, Miyashita M, Akizuki N, Kizawa Y, Shirahige Y, Akiyama M, Kei Hirai, Kudo T, Yamaguchi T, Fukushima A, Eguchi K. Palliative care in Japan: current status and a nationwide challenge to improve palliative care by the Cancer Control Act and the Outreach Palliative Care Trial of Integrated Regional Model (OPTIM) study.Am J Hosp Palliat Care. 2008; 25(5):412-8.


 緩和ケアは、総合的ながん治療に不可欠であり、地域全体において提供されるべきものであるが、わが国において緩和ケア提供の地域モデルは確立されていない。「第3次対がん総合戦略研究事業 緩和ケアプログラムによる地域介入研究:The Outreach Palliative Care Trial of Integrated Regional Model (OPTIM study)」は、地域における質の高い緩和ケアの普及に向けて、2007年に着手された。本研究の目的は、1) わが国における緩和ケアの問題点を抽出し、2) OPTIM Studyの概要を紹介することである。
 Quality of Lifeの向上は、がん治療において重要な目的のひとつであるが、緩和ケアサービスの利用が少ない、希望する療養死亡場所と実際の死亡場所が乖離している、オピオイドの消費量が少ない等より、わが国のがん患者の Quality of Lifeの向上が不十分であることが示唆されている。また、地域緩和ケア普及のバリアとして、1)地域の緩和ケアに関する診療ツールが標準化されていない、2)患者・家族・地域住民が緩和ケアに関する適切な知識を持っていない、3)地域全体の緩和ケアに関する情報を集約し、問題点を検討する組織がない、4)地域の患者が常に専門緩和ケアサービスを受けられる体制がない、などが挙げられる。
 2007年よりOPTIM studyが、わが国における地域緩和ケアのモデルを作成・検証するために進められている。この研究の目的は、1)緩和ケアの標準化と継続性の向上、2)がん患者・家族に対する適切な緩和ケアの知識の提供、3)地域の緩和ケアの包括的なコーディネーション、4)緩和ケア専門家による診療およびケアの提供を中心とする地域単位の緩和ケアプログラムの整備により、地域のがん患者のQuality of Lifeが向上するかどうかを評価することである。同時に、全国においてがん対策基本法に定められた緩和ケアの推進に取り組んでいく際に資する成果、介入過程を作成することにある。
 【コメント】本研究は、評価指標に患者・遺族のアウトカムを含めた国際的にも初めての地域介入研究である。2008年4月より3年にわたり、本プログラムによる介入を実施するが、本研究の成果は迅速に臨床に還元するため、研究HP(http://www.gankanwa.jp/)に随時報告される。本研究が我が国における緩和ケアの普及と質の向上の一助となれば幸いである。

Close