Japanese Society for Palliative Medicine
News Letter No.42
日本緩和医療学会ニューズレター
Feb 2009  42
Current Insight
院内シンポジウム「リビングウィル」を開催して
聖路加国際病院  中村めぐみ
 聖路加国際病院では、毎月1回各診療科が持ち回りで症例を提示し、多職種で検討するターミナルケアカンファレンスを行っているが、それに加えて昨年度より年1回シンポジウムを開催している。
 今年度のテーマは「リビングウィル―患者の意思を尊重するために」とした。最初に米国の事情に精通している一般内科医師がリビングウィルの要点を解説し、終末期医療においてを患者の意思を実現させるために当院でもグローバルスタンダードを適用すべきと提案した。次いで呼吸器内科医師が集中治療部門運営委員会で作成した緊急対応テンプレート(10項目の延命措置について説明し、希望するか否かを確認しておくもの)を提示し、記載状況、がん・非がん患者の臨床経過の違い、終末期のDNAR方針決定への適用について述べた。次に内科専門研修医が日々第一線で現場を担う立場から、終末期が近づいた場合のDNAR方針決定プロセスの実態と課題を投げかけた。最後に病棟看護師が終末期のDNARの確認状況と治療経過に関する調査結果や、尊厳死協会に入っていた患者が急変した時の対応例を示しながら論点を整理し、皆でもっと話し合うべきと括った。
 その後、緩和ケア科医師の司会で討議がなされた。医療行為におけるインフォームドコンセントの重要性は誰もが認識しており、患者にとって益となる医療を提供しようと努めてはいるが、案外患者本人に直接意思確認をしていないことが明らかとなった。特に終末期のDNARについては、若手医師は患者本人にどう切り出すか、どう反応されるかなどの困惑を抱え、最も身近な家族に確認していること、日頃の診療の中で患者の意思を汲み取っていたとしても、予期しない急変時に、それを十分反映させた判断を下すことはなかなか難しい現実が浮き彫りとなった。
 患者本人の意思を最も尊重すべきことは相違ないが、患者と家族の絆が強い日本においては残される家族の思いを軽視できないのも事実である。いつかは必ず訪れる自分の最期の時のことを考え、その思いを家族にも伝え、合意を得ておく機会を作ることが重要と考えられる。そこで、ターミナルケア研究会のメンバーで小冊子「私のリビングウィル」なるものを発案し、作成を手がけ始めたところである。

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