Japanese Society for Palliative Medicine
News Letter No.41
日本緩和医療学会ニューズレター
Nov 2008  41
学会印象記
2008年 国際対がん連合 第20回世界がん会議
(UICC World Cancer Congress 2008)に参加して
千葉県がんセンター整形外科 安部能成
 夏の好天に恵まれ、2008年8月27日から31日にかけてスイスのジュネーヴで、国際対がん連合による20回世界がん会議に参加する機会を得たので報告したい。これまで4年に1回の開催であった世界会議は今回から2年に1回の開催となった(前回は2006年に米国のワシントンで開催)。
 ジュネーヴは各種の国際機関の林立する近代的都市であるが、その中には、WHO、国際赤十字社の本部と並んで、がんに関する唯一の国際機関であるUICCの本部も置かれている。その御膝元での開催を祝福してか、期間中は晴天続きで、名物のレマン湖のほとりのジェット(巨大な噴水)も真夏の日差しに照らされて、一段と艶やかであった。
  今回のがん会議には、世界126カ国から3,014名の参加者を得て、口演セッション124、ポスター発表1,100、展示コーナー52等、大盛況であった。第20回大会のホームページによれば、参加者の内訳は地元スイスが495人(17%余り)で第1位、次いで米国298人、インド139人、英国134人、カナダ104人、中国104人、フランス86人と続き、日本の参加者は86人(約3%)で同率第7位にランクされ、国際大会でのベスト8を獲得した。
  本会議のメインテーマは「真のがん制圧に向けて」であり、大きく5つのサブテーマが設定されていた。すなわち、1.がん予防(39セッション)、2.禁煙(19セッション)、3.研究と治療(25セッション)、4.支持的ケア(17セッション)、5.がんに関する社会的活動への支援(24セッション)、である。我々の立場から注目されるのは、緩和ケアが5つのサブテーマの一つに位置づけられており、その内容が、がんの診断時からの支持的ケアと緩和ケアを受ける権利が全てのがん患者にある、という明言を踏まえている点にある。
 5日間にわたる会議全体を通してみると、緩和ケアを含むサブテーマについては、英語圏諸国の発表に見るべきものが多かった。米国、カナダ、英国、豪州、それに欧州大陸では開催国スイスの展示コーナーに足を運ぶ人が多かったようである。そこには印刷物のみならず、CD−ROM,DVDまで無料配布する展示コーナーもあった。換言すれば、情報発信は教育的アプローチとして重視されている。がん関連の映画祭も開催され、いかに教育的アプローチが重要か、再認識することができた。
 これに対し、ポスターを始めとして発表数では、インド、中国、ロシアが目立った。他方、我が日本は、展示コーナーもなく、どちらかというと発表も低調、職種としては医師に偏在し、それ以外の職種をほとんど見ない等の特色がみられた。
 次回の世界がん会議は、オリンピック・パラリンピックで話題となった中国の北京で、2010年8月に開催されることが決まっている。アジアの一員として応援する意味でも、読者諸兄姉の参加を期待したい。

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