Japanese Society for Palliative Medicine
News Letter No.41
日本緩和医療学会ニューズレター
Nov 2008  41
Current Insight
遺族調査による終末期がん患者のケアの評価:
日本における緩和ケア病棟の遺族調査の発展
東京大学成人看護学
緩和ケア看護学 宮下光令
Miyashita M, Morita T, Hirai K. Evaluation of end-of-life cancer care from the perspective of bereaved family members: The Japanese experience. J Clin Oncol. 2008; 26(23): 3845-52.


【抄録】
  本論文は日本による緩和ケア病棟の遺族調査の発展についてまとめたレビュー論文である。緩和ケア病棟における終末期ケアの質評価には遺族調査が有用である。本論文では日本で実施された緩和ケア病棟の全国規模の遺族調査と、日本で開発された遺族による終末期ケアの質を評価する尺度についてレビューを行った。日本では終末期ケアの構造・プロセスを評価するCES(Care Evaluation Scale)とアウトカムを評価するGDI(Good Death Inventory)という尺度が開発されている。CES(短縮版)は2002年と2007年に行われた全国遺族調査で使用された。日本では1997年(N=850)、2002年(N=853)、2007年(N=5301)と3度の全国遺族調査が行われてきた。CES短縮版の10項目のうち、6項目で2002年から2007年の調査で改善が見られたが、更なる改善が必要な項目も明らかになった。過去の遺族調査の結果は、各施設のデータを全国値とともに施設フィードバックされ、緩和ケア病棟のケアの質の向上に貢献してきた可能性がある。しかし、フィードバックの有用性については、更なる検証が必要であろう。今後は、在宅ホスピスやがん診療連携拠点病院などの一般病院に調査を拡大し、我が国の終末期ケアの課題を明らかにし、それを克服する方略を検討する必要がある。
【コメント】
  緩和ケアの評価を行う際に、初期・進行がん患者は患者調査を行うことが可能であるが、終末期がん患者に対しては、患者に対する調査が困難であることから遺族による評価が一般的に行われてきた。本論文は我が国において継続的に行われてきた遺族調査について、系統的にまとめたものである。論文には2007年に行われた最新のデータも一部含んでいる(J-HOPE study)。がん遺族調査による終末期ケアの質の評価は海外でも行われているが、信頼性・妥当性が保証された調査票の作成、継続的に同じ調査票を用いてフィードバックを行っていること、調査の規模などで、日本は海外より先行している点が多い。2007年には我が国で初めて在宅ホスピスの多施設遺族調査が行われ、2008年にはがん診療連携拠点病院の多施設遺族調査が行われた。これらの結果を総合することにより、わが国の終末期ケアの現状と課題が明らかにされることが期待されている。

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