Japanese Society for Palliative Medicine
News Letter No.41
日本緩和医療学会ニューズレター
Nov 2008  41
ワークショップ2
ディグニティセラピー
あなたの大切なものを大切な人に伝えるプログラム
座長・報告 金城学院大学 柏木哲夫
座長 ピースハウスホスピス教育研究所 松島たつ子
 ディグニティセラピー(D.T.)は、終末期患者の心理社会的および実存的な苦悩に対処することを目的とした精神療法的アプローチである。人生の終末期を迎えた患者が、自分の歩んできた道を振り返り、大切にしてきたこと、達成できたこと、家族に憶えておいてほしいことなどを語る。面接内容は逐語記録され、編集された上で、最終版が患者に送られる。文書化された患者の言葉は家族や友人にも渡すことができる。患者と治療者の協働作業によって進められるこの一連の作業を通して、患者は自己の人生を振り返り、その意味をみつめ、大切な人へのメッセージを残すことができる。病気が進行し、身体的な衰えを自覚する中でも、生きる意味や目的を持つことができる。D.T.は、患者の尊厳を守る、スピリチュアルケアの一方法として、臨床に取り入れていくことができるのではなかろうか。
  本ワークショップにおいては、初めに、D.T.を考案し、実践しておられるチョチノフ教授より、概論説明があった。その後、同僚のブラウン氏がクライエント役となり、面接場面のデモンストレーションを行われ、D.T.の実際が紹介された。面接場面の実際は、心理社会的、実存的な苦悩を持つクライエントへのかかわり方、コミュニケーションのとり方について学ぶ貴重な機会になった。
 会場からも多くの質問がなされ、その関心の高さがわかった。終末期患者の心理社会的および実存的な苦悩に対処している者にとって、自分のしていることが、はたしてクライエントの役に立っているのかどうかは、その検証の仕方が難しく、ともすれば不全感が残りがちになる。しかし、このワークショップを通して、特に二人の講師の面接場面のデモンストレーションを通して「大切なものを大切な人に伝える」ことがディグニティセラピーの中心であることがわかった。今回のワークショップをきっかけにして、日本ホスピス・緩和ケア研究振興財団においてもディグニティセラピーの輪が広がることを期待したい。

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