Japanese Society for Palliative Medicine
News Letter No.40
日本緩和医療学会ニューズレター
Aug 2008  40
施設訪問記
M.D.アンダーソンがんセンターでの緩和ケアの実情
聖路加国際病院がん看護専門看護師 中村めぐみ
 本年6月、テキサス大学M.D.アンダーソンがんセンターと姉妹提携している病院間での相互交流を目的としたカンファレンスが開催され、初日の看護セッションに参加した。テーマの一つにサポーティブケアプログラムの開発が取り上げられており、施設見学の機会も得たので、その様子を報告する。
 全米がん協会では、Palliative CareとSupportive Careは疾患やその治療に伴う症状、副作用、心理社会的・スピリチュアルな問題をできるだけ早く予防あるいは改善するという意味では同義語として用いていた。いずれも疾患の時期によらないこと、治療と緩和の割合も状況に応じて変化することを強調していた。
 全米1位を誇るがん専門病院での緩和ケアは、Outpatient CenterとAcute Inpatient UnitとMobile Consulting Teamの機能を備えていた。外来は平日8時〜17時で1日およそ25人を1患者1時間半位かけて、ベッドやトイレのある個室で診療していた。病棟は12床あり、7〜10日で集中的に症状を緩和し、在宅や療養施設、地域のホスピスに移行させていた。疼痛であれば放射線療法を施行したリ、副作用対策をしながらオピオイドを速やかに増量し、せん妄はアセスメントと薬物療法をしっかり行うということであった。チームは外来・病棟の両方からの依頼を受けて動いていた。
 これらを担うInterdisciplinary Teamのメンバーは医師(約10名)、看護チーム(Advance Practice Nurse・Clinical Nurse Specialist・Clinical Nurse・Certified Nursing Assistant・Inpatient Service Coordinator)と看護管理者、ケースマネジャー、Pediatric Outreach Liaison(患者が子供に難題を話すのを補助したり、子供の質問への応答の仕方を指導する)、ソーシャルワーカー、薬剤師、理学療法士、作業療法士、音楽療法士、マッサージ師、チャプレン等であった。各病室にはコミュニケーションボードがあり、ゴール/ニーズ、ケアチームの担当者名、その他の情報(質問や面談の約束等)の記述欄があった。
 薬物による身体症状の緩和のみならず、情緒的な関わり、QOL向上への取り組み、家族ケア、療養の場の選択や経済的支援等、きめ細かく対応している様子が窺われた。設備の面でも、寝台車で行き来する患者のために天井に絵画を飾る等の工夫が見られた。
 また、症状コントロール・緩和ケアハンドブック、ナース専用のガイドブック、患者・家族向けの冊子が作られ、活用されていた。
 日本でもがん治療と並行した緩和ケアの実践が提唱されており、そのモデルとして参考になった。

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