Japanese Society for Palliative Medicine
News Letter No.40
日本緩和医療学会ニューズレター
Aug 2008  40
学会印象記
第15回死の臨床研究会関東支部大会
千葉県がんセンター整形外科・安部能成
 東京駅から上越新幹線に乗車したが1時間で到着してしまった。群馬県の高崎駅からメインストリートを真っ直ぐ北に徒歩7分、市役所に隣接して建っている高崎シティギャラリーコアホールにて、2008年6月8日の日曜日午前10時から、「苦しみに向き合う」をメインテーマに第15回死の臨床研究会関東支部大会が開催された。
 午前中に行われた一般演題では、利根中央病院 緩和ケアチーム精神系専任医師の藤吉和吉先生を座長に、末期胆管癌患者の希望実現に向けたリハビリテーション、殺してくださいという90歳代女性の看取りを通して、PCUにおけるテレビ電話を使用しての在宅支援、拠点病院における緩和医療供給体制、の4つが発表された。つづいて、死の臨床研究会の特色である事例検討として、2演題が取り上げられた。国立病院機構西群馬病院院長の斎藤龍生先生、群馬大学医学部保健学科教授の神田清子先生の司会により、ターミナル期の患者さんを通して学んだ訪問看護師としての苦しみと関わり続けることの大切さ、死の臨床におけるリハビリテーション・アプローチ〜最後まで患者の希望実現に努力した事例〜、について1時間余りにわたって発表、及び、討論が行われ、フロアと演壇の距離が近いこともあり、会場は熱気に包まれた。
 午後は特別講演が2つ。すなわち、松阪市民病院内科部長 緩和ケア病棟担当の平野博先生による、苦しみ向き合う〜自分の心を覗く〜、休憩をはさんで、ケアタウン小平クリニック院長の山崎章郎先生による、苦しみに向き合う〜スピリチュアルペインとそのケア〜が講演された。中規模の会場は立ち見も出るほどの盛況であった。たしかに、全国規模の緩和医療学会からみれば、本研究会は支部大会という位置づけであり、こじんまりとした小規模な研究会に過ぎない。しかし、臨床研究の基盤をなす症例研究は事例検討に出発する他はない。その意味では、緩和医療学会に多く散見される一例経験の報告も、本研究会のように事例検討として職種の違いを超えて多角的な討論を重ねれば、より有意義なものとなることが感じられた。
 500余人の参加者を集めたことは、今回の関東支部大会が成功したことの証である。これを導いた原敬大会長に敬意を表するものである。同時に、成功のために努力された利根中央病院の皆様方にも、お疲れさまでした、という言葉を送りたいと思う。
 なお、次回の死の臨床研究会関東支部は、黒岩卓夫大会長のもと2009年6月14日に新潟県長岡市で開催される予定であることをお知らせしてペンを置きたい。

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