Japanese Society for Palliative Medicine
News Letter No.40
日本緩和医療学会ニューズレター
Aug 2008  40
ランチョンセミナー6
がん緩和医療の変遷とこれから 〜患者から学ぶことの大切さ〜
座長・報告 愛知県がんセンター中央病院 小森 康永
 チョチノフ教授の講演は、Chochinov, HM. Dignity and the essence of medicine:the A, B, C and D of Dignity Conserving Care. British Medical Journal 335:184-187, 2007を中心に据えたものであった。医療従事者は、患者に対する自らの態度Attitudeを絶えず点検しなければならないこと。いかなる行動Behaviorを心がけるべきか。どのようにして患者に対する思いやりCompassionを維持するのか。そして最後に、いかに対話Dialogueを続けるべきかが論じられた。
 特に印象的であったのは、「思いやり」とは相手の詳細を知ることによって得られるものだという主張において提示されたモノクロ写真/物語である。1865年のリンカーンの葬儀の列を撮った写真には、テオドア・ルーズベルトの生家が写っていて、その二階の窓にはエリオットとテオドアの兄弟が点のように見える。史上最年少で大統領になった弟とは裏腹に兄は精神障碍のみならずアルコール中毒に苦しむ。さらにその妻が若くしてジフテリアで他界し、エリオットも34歳で飛び降り自殺。このような細かさを知ることで、ただの写真が忘れ難いものとなるように、患者とのつながりは生まれるのだと。ウィリアム・オスラーの息子が戦場でハーベイ・クッシングによって治療されたという隠れたエピソードも同様である。
 質疑応答はいつになく忌憚のないものとなった。まずは医療従事者ではないからこんなふうに感じるからかもしれないがと前置きした男性が「このようないわばあたり前のことをこんな大会場で外国の方を呼んで話をしてもらわなければならないという日本の医療の現状がちょっとおかしいのではないか?」 二人目に中国人女性が「ABCのCはコミュニケーションとした方が良いし、Dはドラッグに変えたらどうか?」と。また、最後に学生の方が、「思いやりを示そうとしてもどうしても相性の悪い方というのがみえるわけで、それを解決する方法を教えて頂きたいのですが」と。教授のコメントはご想像ください。なお、本報告の完全版は、アンチ・キャンサー・リーグで読めます。
http://www.pref.aichi.jp/cancer-center/200/235/index.html

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