Japanese Society for Palliative Medicine
News Letter No.40
日本緩和医療学会ニューズレター
Aug 2008  40
ワークショップ3
臨床疑問の解決:症例で学ぶEBMの実践
座長・報告 東京医科大学病院 総合診療科 大滝純司
      広島県立広島病院 緩和ケア科 小原弘之
 今回のワークショップは、日常臨床で遭遇する事例を通して、標準的な緩和ケアの情報をどのように探し、得られた情報をどのように吟味解釈して臨床に還元したよいのかを2名の先生に講演して頂いた。
 京都医療センターの小山弘先生は、食欲低下を伴った進行がんにプロゲステロン製剤が有効かを尋ねられた事例を提示し、P(どんな患者に)I(この介入をすると)C(他の方法と比べて)O(アウトカムがどう変わるか)を用いて臨床疑問を定式化する方法がまず紹介された。次にUp-To-Dateを例に最新の教科書を用いて幅広く情報を収集する方法を紹介され、続いてPubmedを使って臨床疑問の解決につながる研究論文にたどり着く過程を詳しく解説された。さらにCochrane-Libraryやメタ解析の論文の収集方法が紹介され、標準的な治療情報を効率よく収集するための方法を伝授された。関連する研究や最新の論文の探し方、MESHを用いた検索語の設定の仕方、検索された論文の絞り込みの方法など、効率よく重要な論文にたどり着くための実践的な方法やテクニックが満載の講演であった。
 名古屋市立大学の渡辺範雄先生からは、小山先生の事例で入手した論文を基に批判的吟味を加えて、論文の価値を科学的に判断する方法が提示された。現在エビデンスレベルが最も高いとされるRCT(無作為化割り付け比較試験)にも多くのバイアス(偏り)があることが紹介され、内的妥当性の検証の方法を具体的に解説された。続いて実際の患者さんに役立つ情報の抽出方法として、RR(相対リスク)、NNTB(治療効果発現必要症例数)、95%信頼区間の解釈など生物統計学の必須事項がわかりやく解説された。論文の結果を自分で吟味して、患者さんの価値観や治療者の経験・洞察を加えて総合的に判断して臨床の現場に還元することの重要性を強調された。
 演者の先生方の御配慮で会場参加型のわかりやすい講演であったため多くの質疑応答があり、参加者の満足度が非常に高いワークショップになったと思われる。

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