Japanese Society for Palliative Medicine
News Letter No.40
日本緩和医療学会ニューズレター
Aug 2008  40
総会の総括
第13回日本緩和医療学会学術大会の印象
大会長 安達 勇
 第13回学術大会には全国の緩和ケアに携わる関係者5500名(うち非会員1880名)が静岡グランシップに結集し、2日間にわたって積極的に参加された。さらに、7月2日は教育セミナーに800人、6日にはH.M.Chochinov氏とJ.T.Brown氏らによるポストワークショップにも92名が参加された。この大会が会員のみならず全国の医療者にとって、がん緩和ケアの現場へ少しでも還元されるものであったならば主催者として嬉しく思う。
 さて、本大会の総括をニューズレターに掲載することを依頼されたが、一言でいうなら「広げる、深まる、つなげる、緩和の心と技」そのものであったと考える。昨年の「がん対策基本法」の制定、「がん対策推進基本計画」により、全国に緩和ケアの機運が一気に高められてきた。しかし、誰が、どのようにがん緩和ケアを具体的に提供すべきか、連携システムはどのようにすべきか、今までのケアはこれでよかったのかなど、多くの疑問、不安に対して本学会で各々が学んでもらうようプログラムを企画した。会長といえども全てを聴き総括にいたっていないので、主なポイントを述べて総括としたい。
 一つ目の「緩和ケアの心」では、「家族ケアやグリーフケア」また、「がん患者に対するサポートでニーズを的確にとらえ、自助の力をどのようにだせうるのか」をシンポジウムで報告された。患者家族支援センターの立場からは医療者の情報提供における伝え方、患者の知りたいことをどのようにとらえるべきか、NPO法人からは日本人のニーズに添ったサポートの在り方、ソーシャルワーカーからは、親密で距離のある関係を逃げることなく向き合うことの大切さ。なお、チャイルドライフスペシャリストから「こどもらしく一緒にケアの輪にいけるようにするには?」、またがん体験者の先輩として医療コーディネーターをどのように実践しているのか、更に精神腫瘍医からPTSDなど死別後の悲しみを克服する援助が必要であることが述べられた。とくに海外の両講演者から「尊厳療法のプログラムの効果」と「患者家族の尊厳、希望、死別への準備から、いま生きている意味をどのように引き出せうるのか」が紹介された。さらに両氏によるロールプレイを通じてプログラムを具現化してもらった。
 二つ目は「緩和ケアの技」として、がん臨床腫瘍医から役立つ知識テクニック、さらにリハビリテーションの現状と効果について紹介され、参加者らは多いに啓発された。またシームレスながん医療を実現するために5大がんのオンコロジスト、病院管理者から緩和医療者へ提言された。
 三つ目に、緩和ケアチームの在り方、連携の方法などモデルとなる施設からの報告などなされ、大いに参考となった。
 最後に日本における緩和医療はまだ発展途上にあること、また他の学会と異なり多職種からなる学会であること、そして緩和医療専門医制度案が発足された初期段階にあることなどから、癌治療学会や臨床腫瘍学会、またがん看護学会などと異なる基盤と発展途上の学術大会であることが特徴である。学術大会の位置付の重要性を認識する必要があると考える。今後さらに実証性のある、日常の臨床に還元できるエビデンスの高い研究成果がより多く発表される大会に進化することを期待したい。

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