Japanese Society for Palliative Medicine
News Letter No.39
日本緩和医療学会ニューズレター
2008  39
緩和ケアチーム訪問記
旭川医科大学病院緩和ケアチーム
文責:千葉県がんセンター整形外科  安部能成
 まだ雪の残る季節に、日本最北の医科大学である旭川医科大学病院の緩和ケアチームを訪問する機会を得たので、ご報告申し上げたい。
 旭川医科大学病院緩和ケアチームは、専従医師1名、専従看護師1名、の最小規模ながら外来と病床を持ち、院内からも信頼を得て有機的に活動している。
 その秘密は人材と組織体制にあると思われる。まず、常勤専従の阿部泰之医師は整形外科出身で骨・軟部悪性腫瘍の主治医となった経験がある。また、麻酔科と精神科を学ばれ、緩和ケアへの準備に怠りない。そして、この経歴は、大学病院における緩和ケアチームの位置づけにも少なからぬ影響を持っている。たとえば、大学病院長は整形外科の松野教授であり、前回の日本整形外科学会骨・軟部悪性腫瘍学術集会で学会長を務められた人物である。そのバックアップを得たことは、チーム活動に少なからぬ支援となっている。また、麻酔科の岩崎教授は、一昨年の日本麻酔科学会の会長を務められ、院内でも人望の厚い方である。阿部医師の仕事の一つは緩和ケアの普及啓発にあるが、麻酔科の新人医師にクルズスを行っていることからも、岩崎教授主導の麻酔科において一定の評価を得ていることが分かる。さらに、精神科を学ばれていることから、その緩和ケア的対応の幅はかなり広いと考えてよい。
 歴史の教えるところによれば、いかに医師が有能であっても、孤軍奮闘ではバーンアウトは時間の問題である。旭川医科大学病院緩和ケアチームには、専従の看護師が加わっている。このことは医師とは違った観点をチーム活動に与える点で注目される。患者の立場からすると、忙しい医師には話しにくいことでも担当のナースなら話しやすくなり、医師への取り次ぎを頼んでも苦労しない、という声も聞かれた。ちなみに、本チームでは、第3の職種としてソーシャルワーカーを考えておられるが、理由は大学病院には珍しく、地域との連携をより深めたいからであるという。確かにネットワーク作りは社会福祉士の方に分がありそうである。
 このように旭川医科大学病院緩和ケアチームの実践を見せていただくと、緩和ケアチームの展開に有用なことは、規模の大きさ、あるいは、職種の広がりよりも、組織的な位置づけと人材を得ること、に思いを強くした。今後とも最北の地での御活躍を祈念するとともに、本学会での実践報告に期待が膨らみながら、白銀の旭川を後にした。

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