Japanese Society for Palliative Medicine
News Letter No.39
日本緩和医療学会ニューズレター
May 2008  39
学会印象記
がん医療に携わる医師に対するコミュニケーション技術研修会に参加して
昭和大学医学部 医学教育推進室  高宮有介
 2008年2月7日、8日に千葉県柏市で開催されたコミュニケーション技術研修会に参加した。自身のコミュニケーションを見つめ直すことはもちろんであったが、教育方法やファシリテーターの関わり方を学ぶ目的も持って臨んだ。
 模擬患者とのロールプレイが中心であったが、模擬患者は感情表現まで非常によく準備されていた。各種がんについて、進行がんを伝える、再発を伝える、治療の中止を伝えるというシナリオが用意されていた。一般的にロールプレイは7〜10分間、継続して行った後、フィードバックをする。今回は短時間でカットされ、細かい変化や戸惑いに対応していた。しかも、ファシリテーターからのアドバイスでなく、参加者同士による指摘、気づきが中心であった。ロールプレイは医師役の希望した場面から模擬患者とともに再開され、その中で医師役の変化が大きかった。ファシリテーターも辛抱強く、参加者の気づきに付き合っていた。ミニレクチャーも含め研修全体が標準化されていると感心した。
 模擬患者はどなたも素晴らしかったが、スピリチュアルペインまで発するかどうかは、今回は確認できなかった。私自身は治療の中止を伝える場面のロールプレイを行ったが、抗がん剤を続けて欲しいという患者の希望が強く、それ以上に進まなかった。私の力不足も感じたが、模擬患者が、その先の死生観、スピリチュアルペインについて準備されているのか、心理面の深い部分に行くのかは明らかでなかった。
 私自身、長年、緩和ケアに関わってきたが、実際に人前でどのくらいロールプレイが出来るかの不安であった。何とか無難にこなせたが、参加者が、私の非言語的コミュニケーションの姿勢や表情から学び取り、すぐに取り入れるところに驚いた。また、自分自身がやっている非言語的コミュニケーションを全ては説明できないもどかしさを自分自身の教育課題として持ち帰ることができた。 
 がん対策基本法施行後の研修会は講義が多く、今回のようなロールプレイ中心の研修は非常に有用と考えられた。一方で、一度の研修会での参加者数の制限があること、参加者のモチベーションにより教育効果が変わるのではないかと感じた。また、研修直後の参加者の変化は目を見張るものがあったが、日々忙しい臨床の中で継続できているか、継時的に評価していく必要もあるだろう。

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