Japanese Society for Palliative Medicine
News Letter No.39
日本緩和医療学会ニューズレター
May 2008  39
Current Insight
ホスピス・緩和ケア病棟への入院に関する意思決定に対する遺族の後悔尺度
大阪大学大学院 医学系研究科  塩崎麻里子

Shiozaki M, Hirai K, Dohke R, Morita T, Miyashita M, Sato K, Tsuneto S, Shima Y, & Uchitomi Y. 2008 Measuring of the regret of bereaved family members regarding the decision to admit cancer patients to palliative care units. Psychooncology. (in press, PMID: 18157913)

【目的】
 我が国におけるがん患者と家族は多くの場合,積極的治療を行わないという意思決定を行ったのちに,ホスピス・緩和ケア病棟に入院することになる.この重大な意思決定を,後に遺族が後悔することも少なくない.しかし,どのような意思決定が遺族の後悔に影響するのかについては,検討されてこなかった.そこで本研究では,ホスピス・緩和ケア病棟への入院に関する意思決定に焦点を当て,まずは簡便に遺族の後悔の程度を測定できる尺度を開発することを目的とした.
【方法】
 2004年9月から2006年2月にホスピス・緩和ケア病棟でがん患者を看取った遺族を対象に,郵送法にて質問紙調査を実施した.質問項目は,後悔を測定する7項目,受けたケアに対する評価(Care Evaluation Scale),全般的満足感(Overall Care Sa-tisfaction Scale),健康関連QOL(SF-8)であった.再テストは,最初の質問紙調査から1ヵ月後に行った.
【結果】
 調査対象となった216名のうち,返送が確認され,データに欠損のなかった127名を分析対象とした.探索的因子分析と検証的因子分析の結果,後悔項目から2つの下位因子が得られた(後悔に関する侵入的思考の程度・後悔の認知的評価).各下位因子は,ホスピスで受けたケアと全体的な満足感と負の相関を示した.QOLと相関が見られたのは後悔に関する侵入的思考因子のみであった.また,十分な内的整合性と再現性が確認された.
【結論】
 ホスピス・緩和ケア病棟への入院に関する意思決定に対する遺族の後悔を測定できる妥当性と信頼性のある尺度が開発された.
【コメント】
 この尺度の特徴は,後悔に関する思考がどれほど侵入的であるかの程度と,自己評価による後悔の程度という2つの側面を測定できる点です。遺族の後悔を測定することで,遺族の現在の心理状態を測定できるだけでなく,家族の視点から過去の意思決定を評価できると考えています。

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