Japanese Society for Palliative Medicine
News Letter No.39
日本緩和医療学会ニューズレター
May 2008  39
Current Insight
緩和ケア病棟のイメージについて:
一般集団と緩和ケア遺族を対象とした調査から
東京大学大学院医学系研究科 成人看護学/緩和ケア看護学  三條真紀子

出典:
Sanjo M, Miyashita M, Morita T, Hirai K, Kawa M, Ashiya T, Ishihara T, Matsubara T, Miyoshi I, Nakaho T, Nakajima N, Onishi H, Ozawa T, Suenaga K, Tajima T, Hisanaga T, Uchitomi Y.
Perceptions of specialized inpatient palliative care: a population-based survey in Japan. J Pain Symptom Manage. 2008; 35(3): 275-282.

  緩和ケア提供のバリアとして、一般集団・患者・家族が緩和ケアについてよく知らないこと、「死を待つだけのところ」などの悪いイメージをもっていることなどが指摘されている。わが国の緩和ケアは、緩和ケア病棟が提供する施設でのケアを中心としてはじまり、2004年には全国で135病棟とその数は増加した。しかし、これまで、緩和ケアに関する認知およびイメージの詳細に関して代表性のある調査は実施されてこなかった。そこで、全国4都県の一般集団2548名と12の緩和ケア病棟を利用した513人の遺族(緩和ケア遺族)を対象とした質問紙調査を実施した。
 一般集団の38%は、緩和ケア病棟について「よく知っている」または「知っている」と回答したが、24%は「知らない」と回答した。緩和ケア病棟のイメージについては、両群共に「痛みや苦痛がやわらげられる」(一般集団68%,緩和ケア遺族87%)、「家族への気配りがある」(67%,86%)、「手厚いケアがうけられる」(67%,87%)と回答する一方で、「医学的な治療をしない」(32%,54%)、「死を待つだけのところ」(30%,40%)、「寿命が縮まる」(8%,17%)などのイメージも有していた。
 緩和ケア遺族が有する「死を待つだけのところ」「寿命が縮まる」などのイメージは、受けたケアへの満足度に有意に関連しており、また12のPCUで異なっていた。以上の結果から、1)わが国における緩和ケア病棟の認知はいまだ高いとはいえないこと、2)緩和ケア病棟遺族は一般病棟遺族と比して比較的よいイメージをもってはいるものの、3)両群ともに、「緩和ケア病棟は死を待つだけのところ」と感じていることが示された。緩和ケア病棟のイメージには施設間差がみられたが、本研究では施設背景や個人背景、実際に受けた医療との関連探索はできなかった。更なる検討が必要である。
 平成20年度の診療報酬改訂では、緩和ケア病棟は、一般病棟や在宅では対応困難な症状緩和、在宅療養の支援等の機能など、終末期のケア以外の機能もバランスよく有するべく、その位置づけが明確化された。今後、患者や家族、そして日々の努力の中で病棟・チームを運営している緩和ケアスタッフからの意見を広く募り、わが国にとって望ましい緩和ケアのモデルを現場から提言・発信していくことが必要である。

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