Japanese Society for Palliative Medicine
News Letter No.38
日本緩和医療学会ニューズレター
Feb 2008  38
学会印象記
第1回がん医療に携わる医師に対するコミュニケーション技術研修見学記
国立病院機構近畿中央胸部疾患センター
心療内科・支持・緩和療法チーム  所 昭宏
 平成19年10月18日―19日に、平成19年度第1回がん医療に携わる医師に対するコミュニケーション技術研修が、大阪市の天満研修センターで開催された。私は、今回この研修のファシリテーター養成講座受講資格取得のため、「見学者」という立場で参加する機会を得たのでご報告したい。
 この研修は、今般施行されたがん対策基本法の要旨の一部である、「患者が納得できるインフォームド・コンセントを提供できるがん療養体制の整備」という観点にたち、より多くの医師に研修していただくために厚生労働省の委託事業として、日本サイコオンコロジー学会協力・財団法人医療研修推進財団実施にて行われた。今後、仙台、福岡、千葉で開催予定である(http://www.pmet.or.jp/)。
 初日前半は、国立がんセンター精神腫瘍学開発部の内富庸介先生によりこの研修の狙いについて概説があり、その後各グループに分かれてがん医療における患者―医師間のコミュニケーションに関する知識の整理や、今回の講習会の中核概念となる「SHAREプロトコール」を学習した。
 ロールプレイをする参加者は、1グループ4名×4=16名。それに対して、各グループにはファシリテーターとしてオンコロジスト1名、サイコオンコロジスト1名の計2名が配置される研修体制で、個々の部屋も大阪の街並みが眺望できる明るいゆったりした部屋が用意されていた。この研修環境は大変贅沢であり、じっくり向き合い相互に影響しあい、空間的にもゆとりある環境であることの大切さは、研修が進んでいくとあらためて気づいてきたことであった。
 さて見学者はどういう立場かというと、将来このがん医療に携わる医師に対するコミュニケーション技術研修のファシリテーターを目指す精神科医、心療内科医やがん治療医等であり、各グループに分かれて2名ずつ参加した。私は、見学者として会の全体の構成,進行について、ファシリテーターの一言一言や態度、ロールプレイ者の応答などについて相互の立場にたちながら五感をフルに使って見学した。見学者は、最初ロールプレイする空間から約3メートルくらい後方で観察した。ロールプレイのやりとりについて、コメントや会話などを送ってはいけないと指示されていたので、例えば、「ここは上手くできているな」、「こうしたほうがいいかも」、「そのようにファシリテートするのか」などの考えや気持ちが出てくるのであるが、言葉を飲み込み続けるという結構ストレスフルな立場であった。これを2日間つづけることは、相当な訓練になった。
 ファシリテーターは基本的には、参加者がシナリオに従い普段どおりにしているようにロールプレイしてもらい、出来ていること(良かった点)を確認し、お互いにためになるようにSHAREモデルで確認しフィードバックする。これをファシリテーターは根気強く徹底されていることに改めて気づかされた。メインとサブは交互に交代し、メインが司会、サブがやりとりをホワイトボードを使って逐語や気持ちを板書。どこをどう抜き出すかというのもファシリテーターの腕の見せ所であった。メインファシリテーターは、参加者4人+サブファシリテータ1人+模擬患者さん1人の計6人の相互の関係性や環境を扱う相当なコミュニケーション能力を要することであると感じた。
 今後自分がこの様な立場に立つには、相当な訓練が必要であるが、この研修会に参加して以後、患者さんの立場や気持ちに配慮することを今まで以上に意識したコミュニケーションをとるように心がけるようになった。またICに同席するときなどは、「SHAREモデルならどうか」ということをよく意識するようになったと思う。
 最後にこのような貴重な機会を与えていただきました財団法人医療研修推進財団の関係者の皆様や当日ご参加された参加者、模擬患者さんにあらためて感謝したいと思います。

Close