Japanese Society for Palliative Medicine
News Letter No.38
日本緩和医療学会ニューズレター
Feb 2008  38
学会印象記
がん医療に携わる医師に対するコミュニケーション技術研修会に参加して
徳島赤十字病院  片山和久
 当院緩和ケアの麻酔科医師より「私より先生が参加するのがふさわしいのではないか」とのご指摘に,それならばと参加希望のメールを差し上げたところ申し込み多数の中選ばれ10月18日大阪の天満研修センターに向かいました。研修は,4組4人の構成で,2人のファシリテーターのもとにロールプレイを行ってスキルを学ぶプログラムでした。
 実は緩和ケアに携わりながら,スピリチャル・ケアを苦手としているというお恥ずかしい状況で,この間も患者の家族より「先生の言うことは正しいし,解るけど納得できん。」と主治医交代を告げられ少々鬱でした。がん治療の終末期において,いかにギア・チェンジを受け入れていただくかの基本的なコミュニケーション・スキルを磨かなければと憂慮していた矢先でした。
 欧米ではSPIKESに基づいたコミュニケーション・スキルプログラムがありますが,欧米と日本では患者の意向が若干相違しており,日本人用にと開発されたのがSHAREプログラムです。「悪い知らせの伝え方」,「情緒的サポート」,「付加的情報」,「場の設定」という4つの因子で構成されており,患者ならびに家族の感情に配慮するように考慮されています。緩和ケアではがん患者に寄り添うこと,特に「情緒的サポート」が求められますが,ともすると患者の個人的事情に配慮するのは医師として立ち入りすぎなのではないかとか,依存されてしまうのではないかと憂慮され,私自身今一歩を踏み出せずにおりました。今回のこのセミナーに参加して患者自身に心情を吐露していただき,すなわち患者自身の中に答えがありそれを言語化するという過程を通して,患者に寄り添うことが少し可能になったのではないかと考えました。治療を継続する中で,思わしくない結果となった場合,患者やその家族から批判的な言動が投げつけられると,私自身理論武装してしまい医学的に正しいことで患者や家族をねじ伏せようとしてしまいます。ロールプレイの中で,同様な状況も設定されており,第三者としての視点を意識的に持つことで冷静に対応できることが解りました。
 医学書院より「がん医療におけるコミュニケーション・スキル」として出版されており,内容にご興味がございましたら,是非このプログラムへのご参加をお勧めします。

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