Japanese Society for Palliative Medicine
News Letter No.38
日本緩和医療学会ニューズレター
Feb 2008  38
Journal Club
看護師の終末期ケアに対する態度と専門職的自律性
東京大学成人看護学/緩和ケア看護学  宮下光令
Miyashita M, Nakai Y, Sasahara T, Koyama Y, Shimizu Y, Tsukamoto N, Kawa M. Nursing autonomy plays an important role in nurses' attitudes towards caring for dying patients. Am J Hosp Palliat Med. 2007; 24(3):202-10.

【目的】
  看護師の終末期ケアに対する態度の関連要因を検討する。
【方法】
  2003年にある1病院において自記式質問紙法による調査を行った。調査項目は、終末期ケアに対する態度尺度(FATCOD-Form B-J)、看護師の専門職的自律性尺度(PNQ)、死生観尺度などである。
【結果】
  178名(75%)から回答を得た。多変量解析の結果、終末期ケアに対する態度尺度の「死にゆく患者のケアへの前向きさ」ドメインには、専門職的自律性尺度の「伝統的な役割の拒絶(標準化回帰係数:β=0.51, P=0.001)」、死生観尺度の「人生における目的意識(β=0.23, P=0.001)」「死の恐怖・不安(β=-0.14, P=0.03)」、終末期医療に対する相談相手の有無(β=0.19, P=0.001)が関連していた。「患者・家族を中心とするケアの認識」ドメインには専門職的自律性尺度の「患者の権利の尊重(β=0.46, P=0.001)」「伝統的な役割の拒絶(β=0.34, P=0.001)」、死生観尺度の「死への恐怖・不安(β=-0.17, P=0.02)」が有意に関連していた。
【結論】
  看護師の終末期ケアに対する態度には看護師の専門職的自律性が強く関連していた。専門職的自律性を育む教育や職場環境の構築が重要である。
【コメント】
  看護師の終末期ケアに対する態度には、看護師の専門職的自律性、特に、「伝統的な役割の拒絶」が関連していた。この関連の強さ(標準化回帰係数)は、このような心理学的研究においては非常に大きいものである。「伝統的な役割の拒絶」は看護師が医師に隷従するのではなく、自ら看護師としての役割を考え、責任をもって行動するという態度である。当初、この結果を見たときには、当然の結果か「社会的望ましさバイアス」を考え、論文にするべきか悩んだ。しかし、著者は仕事や研究で優秀な看護師と接する機会が多い。このような視点で見ると、優秀な看護師の多くが自分の看護観と役割認識など高い専門職的自律性を有しているという現実を再認識し、本論文を執筆することにした。終末期ケアに携わる看護師にとって専門職的自律性を育むための卒前・卒後教育の充実や職場環境の構築(看護管理者および医師などの他職種がそれを尊重する姿勢を持つこと)は患者へのよりよいケアに貢献すると考えている。

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