Japanese Society for Palliative Medicine
News Letter No.38
日本緩和医療学会ニューズレター
Feb 2008  38
Current Insight
院内シンポジウム 「私が考えるギアチェンジ」を開催して
聖路加国際病院がん看護専門看護師  中村めぐみ
 聖路加国際病院では、毎月1回各診療科が持ち回りで症例を提示し、多職種で検討するターミナルケアカンファレンスを長年にわたり継続している。
さらに今年度は新しい試みとして、日頃問題となることが多い「がん治療から緩和ケアへの移行」をテーマとしたシンポジウムを企画した。
 シンポジストは消化器外科・乳腺外科・呼吸器内科・小児科の医師、婦人科/泌尿器科病棟の看護師で、コメンテーターは血液内科と緩和ケア科の医師、リエゾン精神看護師、司会はソーシャルワーカーと私がん看護専門看護師が務めた。
 印象に残ったシンポジストの発言を挙げると、「緩和ケアはターミナルケアではなくトータルケアである。がん患者を対象としたある統計では、5%の治療効果が期待できるなら70%の患者がやってみたいと感じていた」「がん医療では患者の症状を取ることが目的であり、その方法ががん治療の場合も緩和ケアの場合もある」「治療からケアへのギアチェンジではない。最期まで2本立て、パラレルな関係であるべき。患者がどうして良いか分からないことで不安に陥らないよう医師はナビゲートする立場にある」「積極的治療から緩和ケアへの移行をいつ誰が決定するか?医師の説明の仕方に拠るところも大きい。看護師は患者の意思を確認する役割を担うが、方針についても医師と一緒に考えたいと思っている」などがあった。
 共通していたことは、ある時点でがんに対する治療から苦痛症状の緩和ケアに切り替えるのではなく、キュアとケアは同時に並行してなされるべきこと、いずれにしても患者にとって益となることをめざすという考え方であった。
 この場を通じて、がん患者の治療・ケアによく携わる様々な診療科の医療者が日頃どのように考えているかを知り合うことができた。また、会場に溢れるほどの職員が集まり、次々と意見が出されたことから、このテーマに対する意識の高さが窺われた。
単に治療を断念させるのではなく、個々の患者の意思を尊重し、QOLを維持するためには、病院全体が一つのチームとなって、職種や診療科の壁を越え、様々な専門領域のメンバーが協働していく必要があること、そこへ向いつつあることが示唆された。

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