Japanese Society for Palliative Medicine
News Letter No.37
日本緩和医療学会ニューズレター
Nov 2007  37
ポスターセッション P2R-1〜P2R-10
事例(5)
座長・報告 : 高知女子大学看護学部  藤田佐和
 終末期の患者・家族への援助について10事例の報告があった。それぞれの事例から、(1)緩和ケアチームでの取り組み、(2)症状や疼痛コントロール、(3)実践への理論活用の成果、(4)希望や生、意思決定を支える援助などについて、発表者と参加者が共に学ぶことができたセッションであった。
 上尾中央総合病院の中野氏からは、緩和ケアチームで取り組んだ急激な疼痛の増強に対してチームで症状コントロールを行ったが対応に難渋した事例の報告があり、参加者は告知との関連を含むメンタルケアの重要性を再認識できた。旭川厚生病院の鈴木氏は、疼痛コントロールが図れても退院に不安を持つ事例にチームで関わることで、患者・家族が主体的に自宅での生活を選択し退院できたことを報告した。埼玉医科大学総合医療センターの春川氏は、患者が疼痛コントロールに参加することで除痛が図られ、患者の希望を支えることができることを、市立長浜病院の岩本氏は、一般病棟での緩和ケアは可能で、疼痛コントロールを目指して取り組めば、安楽な時間は少なくとも、患者・家族が望んだ生きるための時間を延長できることを報告した。さらに三州病院の横山氏は、上気道狭窄の可能性のある肺がん患者においては体位変換という行為が致死的状況を招く危険性を報告し、参加者は体位変換というケアについて考えさせられた。
 松江市立病院の井原氏は、患者がこれからの生き方について意思決定できるようにセルフケア理論を活用して支援したことで成果が得られたことを報告した。佐世保共済病院の藤澤氏は、ターミナル期の患者・家族への関わりについて危機モデルを用いて振り返り、モデルを活用することで患者・家族のその人らしさを尊重した援助ができることを示し、参加者は実践への理論活用の有用性について学んだ。
 和歌山県立医科大学附属病院の前田氏は、“残された時間”の患者・家族と医療者の認識のずれを分析したうえで望みを叶える援助の必要性を、訪問看護ステーションあたごの安岡氏は、在宅でのターミナル期を支える立場から、事例を通して医療機関との連携と在宅支援のあり方について課題を提示し、患者・家族がよりよい選択が可能となる支援の必要性を、米子医療センター矢倉氏は、余命数ヶ月でありながらも積極的治療を望み続けた事例に対して、最後まで患者・家族の意向を尊重し思いを受け止め支えることの大切さを報告し、参加者は患者・家族の希望や生、意思決定を支える援助の重要性を再確認できた。
 いずれの事例も、緩和ケアに有用な臨床知の源泉、蓄積を示唆する有意味な報告、今後の実践の方向づけとなる内容であった。

Close