Japanese Society for Palliative Medicine
News Letter No.37
日本緩和医療学会ニューズレター
Nov 2007  37
ポスターセッション P2C-1〜P2C-10
緩和ケア病棟(以下PCU)での患者ケア
座長・報告 : 聖路加国際病院  高橋美賀子
 当セッションでは10題の演題発表があり活発な質疑応答がなされた。1題目の謝花氏からはPCU看護師の死生観とターミナルケアにおけるアウェアネス及びケア行動との関連について、質問紙調査の結果から、「魂の永遠性」を信じる看護師は心的負担を感じておらず、「生への消極性:生きることは苦しい」と感じる看護師は患者訪室などに心的負担を感じる傾向があり、「生死一如:生と死は隣り合わせ」と感じている看護師ほど「その人らしさの支援:疼痛緩和・患者の希望を聴く」のケア行動をとっていない傾向との報告がされた。今後、臨床や教育での適用が課題と思われた。2題目の深沢氏からはPCUにおける転倒・転落のリスクマネジメントについて、院内システム整備と看護師教育によりリスクを予測できたケースが増加したと報告された。今後は予防対策の徹底と患者の自由度を高めた場合のリスクを最小限にするシステム整備等が課題であると述べられた。3題目の宮脇氏からは、舌苔のある患者にキウイフルーツ・パイナップルを用いて口腔ケアを行い、両者で舌苔除去の効果が得られたことが報告された。4題目は高橋氏から、ホスピス・PCUでの鎮静にかかわる看護師の抱える問題について報告があり、810名へのアンケート調査で「鎮静を開始する際に困ったり不安を感じた」が79%、「鎮静に関して抱えている問題やストレスがある」82%などの結果が得られ、経験・年齢に関係なくストレスを抱えながら鎮静に関わっている実態が浮き彫りになった。5題目の長尾氏は、亡くなった患者のカルテからお別れの言葉を抽出し分析した結果、お別れの言葉の多くが予後1週間前後で発せられており、患者・家族ケアに役立つ可能性があることが示された。
 6題目の高田氏からは、現状を受け入れられず麻薬にも抵抗があった患者に対して、看護師が寄り添い共感的態度で接することなどでギアチェンジをスムースにすることができた事例を通し、いかにがんと共存できるかを共に考えていける支援者であることが看護師に求められる役割であるとの発表があった。7題目には薬剤師の大下氏より、嚥下障害のある患者に対しバルプロ酸シロップの凍結投与を行ったところ、血中濃度には差がなくてんかん発作も生じなかったとする研究結果が発表された。今後、他剤での検討も期待される。8題目は松原氏より、看取り期の患者の口腔ケアにプロペト軟膏にアズノール含嗽液を加えて使用したところ、5名全員が乾燥の軽減を認め、口臭が消失した等の効果が認められたことが示された。9題目の松林氏は、ある患者との関わりの中で、思いの傾聴や外泊の調整などを通して自己決定を支えたことをペプロウの理論を用いて分析し、患者が自分らしく生きるためには患者−看護師間の人間関係の成立が不可欠であると報告した。10題目には星野氏より、初めてPCUで受持看護師となり関わり方に戸惑った事例について報告が行われた。皮膚処置時の痛みが強く、ケアに疑問を持ちながらも他のスタッフにも相談できず、患者・家族の想いも確認できず、悔いが残った症例を通して、患者・家族、スタッフに感じたことを言葉にし共に考えることが大切であると実感したことが報告された。
 全体を通して、どの施設も様々な悩みを抱えながらも、熱心にケアを提供している姿が感じられるセッションであった。

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