Japanese Society for Palliative Medicine
News Letter No.37
日本緩和医療学会ニューズレター
Nov 2007  37
ポスターセッション P1Q-1〜P1Q-10
事例(1)
座長・報告 : 高崎健康福祉大学看護学部看護学科  岩崎紀久子
 本セッションでは疼痛コントロールから緩和ケアチームの取り組み、家族ケアなど、多岐にわたる10つの事例報告がされた。
 第1席の渡辺氏は、頸部リンパ節転移に伴う難治性疼痛を有する咽頭癌患者に対するきめ細かな薬物調整により、2度の在宅移行が実現した症例報告を行った。第2席の塚本氏は、皮下埋め込み型ポート挿入患者に対する術前後の訪問を通した手術室看護を緩和ケアの視点から発表した。第3席の土手氏は、オピオイドの増量に伴うparadoxical painを引き起こした患者に、ミダゾラムを投与して一時的鎮静をはかり、疼痛の増強を抑えることができた症例報告をした。第4席の菅野氏は、多発神経線維腫で疼痛や呼吸困難など多様な症状のある20歳代の患者に対して緩和ケアチームが積極的に関わり、在宅療養が再開できた事例を報告した。第5席の大沼氏は、進行癌で呼吸不全を併発した患者に対して、突然の症状悪化からやむを得ず人工呼吸器を装着し離脱することができた3症例の報告をした。第6席の西本氏からは、膀胱癌末期患者に対するメトロニダゾーム膀胱内注入が臭気改善に有効であり、副作用とみられる症状発現もなかった1症例の報告がされた。第7席の川岸氏からは、乳癌再発・転移のために入退院を繰り返す40歳代の患者に対して、自己決定を支えるという視点から「意思決定プロセス要素」を用いて分析し、その人らしさを支える援助を行った報告がされた。第8席の深野氏は、緩和ケア対象であってもまだ予後が期待できる患者の予想外の急変に対して、医療者と家族の信頼関係を構築し家族ケアを展開した3事例の報告を行った。第9席の大戸氏からは、喉頭癌で喉頭摘出した患者の症状悪化に伴う嚥下困難で疼痛コントロールが難渋した症例に対する、多職種からなる医療チームの関わりのプロセスについての報告がされた。最後の第10席の竹内氏からは、頭頸部癌再発に伴う難治性の頭頸部痛に対して、オピオイドなどの疼痛コントロールと共に理学療法を加えることによって、筋緊張緩和と循環改善、リンパ管の側副路の流れの促進ができた2事例の報告がされた。
 いずれの演題も持ち時間5分という限られた時間の中で活発な意見交換がされ、このような事例の積み重ねが質の高い緩和ケアの提供につながることを実感したセッションであった。

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