Japanese Society for Palliative Medicine
News Letter No.37
日本緩和医療学会ニューズレター
Nov 2007  37
一般演題口演16
家族と遺族のケア
座長・報告 : 静岡県立静岡がんセンター  青木睦恵
 口演16は総会2日目に行われ、朝1番の発表に関わらず、会場外まで立ち見が出るほど多数の方が参加された。発表者も含めて、参加者は医師・看護師・ソーシャルワーカー・臨床心理士等の医療関係者などの多職種が参加された。また医療関係者であっても家族・遺族の立場としての意見や質問もあり、ひとつひとつの発表に対して深い関心が寄せられた。どの発表も様々な立場から、それぞれの現場での試みを発表された非常に内容の濃いものであったのでそれを報告したい。
 第1題は、岡田順子先生(さくさべ坂通り診療所)らによる、「在宅ホスピスケアにおける予防的グリーフケアの可能性―遺族インタビューから要因分析の試み―」。遺族15名を対象とした第3者によるインタビューから、闘病中・または死後のグリーフケアの可能性について分析された。「予防的グリーフケア」という、患者の闘病中から家族へのグリーフケアを考える、まさに臨床現場に即した内容の発表であった。
 第2題は、中釜浩美先生(春日井市民病院)らによる、「グリーフケアの重要性に即した1症例」。患者の死後、その家族からのニーズにより、家族と緩和ケアチームの面談が数回提供された。その数回の面談が、患者を看取ることができなかった家族自身の癒しにつながっていったことが伝わってくる深いケーススタディであった。
 第3題は、嘉糠美津希先生(どちペインクリニック 玉穂ふれあい診療所)らによる、「有床診療所におけるグリーフ集会の意義と今後の課題」。無床診療所時代の頃から10年間に渡り行ってきたグリーフ集会(遺族会)の試みの発表であり、フロアからは遺族への呼びかけ方法や内容、参加費・運営資金等に渡り熱心な質問が寄せられ、各施設での遺族会への関心の高さが感じられる発表だった。
 第4題は、寺岡亜紀先生(前信州大学医学部附属病院)らによる、「終末期患者における家族ケアを考える〜30代の母・妻の役割を担う乳癌患者の事例を通して〜」。患者家族の「生きる希望」が強く、病状や予後を伝えていくことが難しかったという事例報告であるが、常に患者家族に寄り添い、見守っている看護スタッフらによる適切なタイミングでの介入の様子が伺え、患者家族との密なコミュニケーションの大切さが伝わる発表であった。
第5題は、杉田温子先生(名古屋第2赤十字病院)らによる、「デスケースカンファレンスへの取り組み―チェックシート20例の分析―」。デスケースカンファレンスを1年間行った上でチェックシートを作成、内容を分析。その結果を患者が亡くなったあとのデスケースカンファレンスだけではなく早期からの看護介入に役立てようという、終末期看護の質の向上を目指した非常に前向きな発表であった。
 上記5題それぞれの発表に対し、フロアからは熱心な意見・感想・質問が寄せられ、家族・遺族ケアへの思いや葛藤・取り組みを共有できた。このように参加者に有意義な気付きの機会を提供して下さった各発表者に心より感謝の意を表したい。

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