Japanese Society for Palliative Medicine
News Letter No.37
日本緩和医療学会ニューズレター
Nov 2007  37
一般演題口演1
QOL
座長・報告 : 立命館大学 理工学部/かとう内科並木通り診療所  下妻晃二郎
 6名の研究者による発表が行われた。分野は、頭頸部がん・胃がん患者を対象とした手術前後のQOL、造血器腫瘍患者に対する化学療法とQOL、緩和ケアにおける代理人による症状評価尺度の信頼性検証、吃逆に対する漢方薬の効果検証の試み、末期大腸がん患者の社会的役割に関する症例報告、であった。
 6題中3題は、確立されたQOLや心理尺度を用いた、手術や化学療法の影響を調べる量的研究であった。使用尺度はQOLではFACT、心理尺度はHADSが主であった。いずれも、対象症例数は50例以下であり、研究デザインは前向きではあるが対照を置かないものであった。パターン分析を含めた経時推移の詳細な検討から貴重なデータが得られていたが、明確な結論を得るのに各発表者は苦労をしていた。エンドポイントの多重性の問題やバイアスを排除するために、今後は可能な限りランダム化比較試験にチャレンジしていただきたい。
 次に代理人による症状評価尺度の信頼性の検討について。確かに緩和医療においては、患者の主観を得ることが病状や倫理的問題から現実に難しいケースが多く、医療者や介護者などの代理人によるQOLや症状評価の需要は大きい。本演題では、医師と看護師それぞれ1名による医療者間の評価結果の相関係数が高い項目を残そうという試みがなされていた。医療者間の相関が高かった症状の中でも、例えば、疼痛、しびれ、全身倦怠感、など、医師が一般に過小評価することが広く知られている項目については、実際に完成された尺度の使用においては慎重に扱う必要があると思われた。
 漢方薬の効果検証の試みについては、世界的にもまだ緒についたばかりと言えるが、エンドポイントの明確化とバイアスを排除するための工夫(対照症例の設定など)が課題である。
 末期大腸がん患者の症例報告に関しては、司会者の物理的都合により拝聴することができなかったため、コメントを差し控えさせていただきたい。
 全体としては、QOLに関する質の高い研究が近年わが国でも増えていることを実感した。

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