Japanese Society for Palliative Medicine
News Letter No.37
日本緩和医療学会ニューズレター
Nov 2007  37
ワークショップ2
緩和医療と化学療法
座長・報告 : 筑波大学大学院消化器内科  兵頭一之介
座長 : 聖路加看護大学  小松浩子
 多くの固形癌では化学療法は緩和医療のひとつであり、終末期へと至る道のりで必ず考慮されるべきものである。急速な化学療法の進歩に伴い、会員の関心がさらに高まったせいか、会場は人であふれ熱心な討論が行われた。
曙会シムラ病院の岩田尚士先生の発表では、広島県内の緩和医療専門施設9施設のアンケートから1割以下ではあるが、化学療法の適応と考えられるケースが存在するとの報告があった。市立堺病院の福永睦先生からも積極的な疼痛緩和によってPSの改善が得られ化学療法が可能となった患者が7%程度存在していたことが明らかにされている。これら2つの報告では、適切な緩和医療の提供と化学療法の適応の判断が同時に行われることが重要であることが指摘された。
埼玉医科大学の荒木和浩先生は緩和医療中心の患者群と重なる抗悪性腫瘍薬の第T相試験の対象を調査し、第T相臨床試験に参加可能な症例は1%未満と極めて少ないことを発表した。今後、患者の有効なリクルートの方策が必要であることを強調した。
北里大学の上手真梨子先生は、終末期に化学療法を受けた患者の特徴として比較的若年で積極的抗悪性腫瘍治療歴を有していることを示した。この様なポピュレーションには精神的な支援が特に必要と思われる。
化学療法医が「看取り」まで行うケースが多く緩和ケア科医師の介入は限定的であると松本篤先生は栃木県立がんセンターの現状を紹介した。化学療法の進歩により外来治療で予後の延長を期待できる状態となり緩和化学療法の重要性が増してきたと群馬県立がんセンターの保坂尚志先生は指摘している。緩和ケアを提供する医師は様々な要因で多様化しており理想的な標準的な在り方を模索していくことが今後の課題のひとつと考えられる。
現在、がん対策基本法に化学療法と緩和ケアの充実が謳われ対策が進んでいるところである。会場の全ての会員が「両分野が協調しながら進歩していくことが重要」であると再認識させられたワークショップであったと思う。

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