Japanese Society for Palliative Medicine
News Letter No.37
日本緩和医療学会ニューズレター
Nov 2007  37
シンポジウム6
緩和医療を支える倫理と法
座長 : 岡山大学大学院医歯学総合研究科 法医生命倫理学  粟屋 剛
座長・報告 : 広島大学大学院・精神神経医科学  山脇成人
 田中会長のご要望により、粟屋剛教授(岡山大学法医生命倫理学)とともに、在宅死、安楽死、尊厳死など終末期がん患者の緩和医療に関わる医療人であれば必ず直面する倫理的、法的問題に関するシンポジウムを企画した。会場は満席で、立ち見の参加者もたくさんいて、最初から熱気にあふれていた。
 厚労省は在宅療養支援診療所が制度化し、在宅での看取りを推進しているが、二ノ坂保喜氏(にのさかクリニック)は診療所医師の立場から、在宅ホスピスにおける自己決定や家族の負担の問題にまつわるバイオエシックスの問題を指摘し、ナラティブ医療の重要性を主張した。また、弁護士の田邊昇氏は末期がん患者の安楽死をめぐる殺人容疑裁判や延命中止のガイドラインに触れながら、安楽死・尊厳死に関する未解決の問題について法律家の観点からまとめ、患者本人の意思決定が基本であるが、その意思が確認できない場合は、家族を含めた医療チームによる慎重な話し合いのプロセスを踏んだ手続きが重要であると強調した。一方、「いのちの教育」という観点から、大谷いずみ氏(立命館大学)はある高校生からなげかけられた「尊厳ある死」についての疑問からはじまり、わが国における尊厳死の考え方の変遷について解説し、「死を見つめて生の大切さを知る」「よく生きるとはどういうことか」という重いテーマをどのように教育すべきかについてわかりやすくまとめた。
 質疑応答では、特別講演の演者の米国コラムニストの李啓充氏が、わが国における延命医療中止における自己決定の議論の遅れと法的な未整備を厳しく批判したが、他の参加者からは、日本人独自の意思決定表現の曖昧さや死生観も考慮すべきではとの意見なども述べられ、白熱した議論で盛り上がった有意義なシンポジウムとなった。

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