Japanese Society for Palliative Medicine
News Letter No.37
日本緩和医療学会ニューズレター
Nov 2007  37
シンポジウム4
在宅医療と緩和医療
座長 : 片山医院−尾道市医師会  片山 壽
座長・報告 : かとう内科並木通り診療所  加藤恒夫
 シンポジウム4「在宅医療と緩和医療」の企画にあたっては、がん対策基本法が制定された直後だっただけに、本総会を代表するシンポジウムとすべく、演者には厚生労働省の代表者をはじめ各地で積極的に「地域連携で在宅ケアに取り組む」方々を招いた。そして本会開催直前にはがん対策推進基本計画が閣議決定された。おかげで、本シンポジウム聴講者も立ち見が出るほどであった。
 加藤雅志氏(厚労省健康局がん対策推進室)は、実際にがんセンターで診療を行っていた厚生労働技官の立場から、新しい政策の方向性を説明。病院から在宅への切れ目のない緩和ケアを提供するために、とくに在宅医療の充実について、地域特性を生かした診療機能分化と連携を進めていくという政策的基盤整備の推進方針を明らかにした。
 本家好文氏(広島県緩和ケア支援センター)は、2004年に県立病院内に設置された同センターを通じて、県内全域に総合的な緩和ケアを提供する取り組み(医療者の連携、県民への情報提供)について紹介。さらに、地域の医療者への教育的役割についても触れ、広島大学医学部の学生教育や研修医・病院管理者などが参加する一日研修を紹介した。
蘆野吉和氏(十和田市立中央病院)は病院長として、院内・地域連携のネットワークづくりを紹介。その中で、住民の側も、在宅で迎える看取りへの意識変革が必要と強調した。そのためには、町内会など既存の組織を通じて、地域と医療者の全体での地道な取り組みが必要であると指摘。そして、在宅緩和ケアについては、「医療システムと社会システムの総体」の構築として考える必要性を訴えた。
 加藤恒夫(かとう内科並木通り診療所)は、「緩和ケア岡山モデル」を紹介し、がんの在宅ケアを提供するためには、早期より病院とプライマリケアチームの連携が必要であり、それが円滑に機能するためには、地域版緩和ケアチーム「在宅サポートチーム」の存在が不可欠と強調した。また、近年の外来化学療法患者の増加のためか、病院との連携が増加している一方、化学療法中の患者は病院死の傾向が多いことを指摘した。
片山壽氏(尾道市医師会長)は、尾道市の病院や地域の主治医が連携しながら在宅緩和ケアの実現をめざす“尾道方式”について報告。それは、退院前に多職種によるケアカンファレンスを行い、患者・家族の意思を確認し、病院側の継続的協力と、在宅担当者側のチームを組織することに始まり、退院後も、プライマリケア医の往診時に、必要に応じて病院側主治医や訪問看護師などが同行訪問するという、チーム医療の実状であることを紹介した。
 まとめ:各地には、その地域文化に根ざした在宅ケアの仕組みが必要であり、それは、すでに地域の先駆者により開発されている。新しい制度は、画一的なものではなく、これらの発展を支援していくものであるべきであろう。

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