Japanese Society for Palliative Medicine
News Letter No.36
日本緩和医療学会ニューズレター
Aug 2007  36
海外便り
アフリカのホスピス便り
看護師  工藤ひろこ

 私は今、南アフリカヨハネスブルグの「エイズホスピス」にボランティアとして週1回通っています。もうすぐ2年がたちます。
 通い始めるきっかけは、たまたま主人の転勤でヨハネスブルグに住むことになり、日本ではほとんど耳にしなかった「HIV」「Aids」の言葉がここでは日常的な問題として聞かれることにビックリしたからです。南アフリカのHIV感染者は約550万人とインドに次いで世界で2番目に多く、15〜49歳の国民のおよそ5人に1人が感染者とみられています。
 南アフリカはアパルトヘイト時代、父親だけが鉱山に出稼ぎに行き,そこでの多数の性交渉などが原因でHIVが広まったとの事。
 2004年から政府によるARVの無料配布が開始されていますが、この薬も飲んでいない人、飲む事が出来ない人が数え切れないほどいるそうです。根強いスティグマ(差別)のため、自分がHIVに感染している事を知られまいとしている人が多いのも原因ですが、教育水準が低く、しかも貧困層では、本人のHIV/Aidsに対する認識が低いということ、薬をもらいたくても、病院まで行く交通費が無いという人も大勢います。
 そんな中、知人の紹介で「エイズホスピス」に通う事になり、他の黒人スタッフと一緒に色々なケアをしています。患者の顔ぶれは次々に変わります。早い人は入院して次の日、多くは2週間ほどで亡くなります。スタッフは医師1人、看護師が数名いますが、ケアギヴァーという日本のヘルパー的存在のスタッフと研修中の学生の方が圧倒的に多く、短い期間で資格が取れるケアギヴァーの看護レベルは日本に比べかなり低いものです。もっと研修を!と叫びたいところですが、まだまだスタッフの意識改革が必要だと感じます。
 エイズ患者との会話や笑顔を見るために、私はこれからも通い続けようと思います。

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