Japanese Society for Palliative Medicine
News Letter No.36
日本緩和医療学会ニューズレター
Aug 2007  36
学会印象記
コミュニケーション技能訓練(CST)を受講して
埼玉県立がんセンター  久保田靖子

 2007年2月15・16の両日、さわやか千葉県民プラザで開催されたCSTを受講した。
 初めてのことで不安だったが、会場には16名の受講者以外に多くのスタッフがおりやさしい雰囲気の中、すこしずつ気持ちが楽になった。
 長いアンケートを記載したのち、4名の受講者・2名のファシリテータ・1名のオブザーバーにより構成されたグループへと分かれ、いよいよグループワークと相成った。模擬患者さんを前にはじめのうちは緊張してなかなかうまく言葉がでなかったが、途中からは、あまりの模擬患者さんの患者さんらしさに、まるでいつもの診察室にいるような錯覚を覚えた。いつも診察の待ち時間を気にして外来をこなすことばかりに気をとられ、忘れてしまっていた患者さんのつらい状況を思いやるその方法を、参加しているすべての方々から教えていただいた。そして、初日を終え、帰路につきながら、自分の中に何か心地良い達成感があることに気づいた。
 二日目は模擬患者さんがいつも悩みの種になるような患者さんへと進化していたため、一日目のようには簡単にいかなかったが、このような場合の対応のしかたについてもやはりグループの皆から教えていただいた。今後、診療を行う上できっと大いに役立てられると思う。訓練がすべて終わった時、自分がこれまでとは違う自分、いつもよりも優しい人間になっているのではないかと思えてきた。そして、昨日の心地良い気持ちはこれだったのだと思い至った。
 医師という仕事は結構つらいことが多い。特に、患者にいい治療効果をもたらすことができなかった場合は、とてもつらくて後ろめたい気持ちにさえ、苛まれる。いえ、患者さんはもっともっと途方もなくつらいわけで、このことに医療者が思いやりの気持ちをもちそれを適切に伝えることができたら、その両者ともが少しばかりでも救われるのだと改めて思い知らされた。ぜひ、より多くの医療者にこのコミュニケーション機能訓練を受けることを心よりお薦めしたい。そして、今後は実際の忙しい診療の現場でどのようにしていけばいいのかを検討していかなくてはならないであろう。

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