Japanese Society for Palliative Medicine
News Letter No.36
日本緩和医療学会ニューズレター
Aug 2007  36
学会印象記
International Work Group on Death, Dying and Bereavement
山口大学大学院医学系研究科医療環境学  谷田憲俊

 2007年6月17〜22日、サンパウロ市で開催されました。私も含めて5名が日本から、全世界からは計80名ほどが参加していました。これは、名称どおりの国際作業部会で、課題別にグループに分かれてワークショップをします。それを月曜から木曜日まで行い、金曜日にそれぞれの成果を発表します。継続課題と新たな課題があり、前者にはLanguage of grief、Armed conflict、Charter、Spirituality、Complicated grief、Barriers (of the end of life)で、新たに8題が提起されました。参加者を募ったところ、継続課題と新たにCaregiverが題材となりました。私はスピリチュアリティについて話す機会を控えていたので、スピリチュアリティ・グループに入りました。
 グループ・ワークでは、概念・定義から始まり、スピリチュアリティの因子、各因子の関連性、関係する方略、影響と効能、ダーク・スピリチュアリティ等が話題になりました。スピリチュアリティの定義では、(1)つながり(対象は多様かつ広い)、(2)個人的な人生の意味づけ、とまとめられました。宗教との違いは、宗教は「信仰システムの集合体」であり、スピリチュアリティは「個人別の信念システム」です。ダーク・スピリチュアリティについては、キリスト教が社会の根底にあることを考えれば理解できます。私は万葉集から、日本人のスピリチュアリティ、スピリチュアル・ペイン、悲嘆ケアを紹介しました。グループのまとめにも和歌が日本語のまま入りました。
 他のグループについては最終日の発表からうかがえました。言葉の定義から緻密に練り上げたグループ、対象が広いために研究・臨床等の成果を発表しあったグループ、音楽とパフォーマンスで発表したグループなど様々でした。ウェッブ・サイトに示すグループもあり、http://www.iwgddb.org/にアクセスしてみてください。
 ところで、オックスフォードのヘレン&ダグラス・ハウス・ホスピスから来た小児ホスピスのパイオニア、フランシス・リッチーさんと会いました。かつて彼女はシシリー・ソンダースに小児ホスピス設立への協力をお願いしたいと連絡したところ、「来るな」と拒否されたそうです。「子どもは家にいるのが最善、ホスピスに入れるなどもってのほか」というのが理由でした。3年後には小児ホスピスの考えを理解してくれたそうですが、当初の拒絶には驚いたそうです。リッチーさんはそのホスピスの子どもたちを連れて訪日し、皇后陛下に会われています。先ごろ、天皇・皇后両陛下は訪英の折にそのホスピスを訪れ子どもたちと再開を果たしました。報道で見られた方も多いと思いますが、両陛下を案内していたのがリッチーさんです。皇后陛下の愛情あふれる子どもたちへの接し方には非常に感動されたそうです。
 帰り、経由地のダラスへ向かう途中、雲に映える機影の周囲に卵形の虹が見えました。今回は会場のホテルに缶詰状態で、地球の裏側まで行きながら市内見物もしませんでした。しかし、ブラジルの人々の温かいもてなしには、折あれば観光で行きたいと思いました。

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