Japanese Society for Palliative Medicine
News Letter No.36
日本緩和医療学会ニューズレター
Aug 2007  36
学会印象記
韓国に於けるホスピス国際ワークショップに参加して
聖路加国際病院緩和ケア科  中村めぐみ

 本年3月に韓国延世大学で「International Workshop on Hospice Management , Payment, & Law」が開催された。韓国ではホスピスに特定した医療制度や診療報酬、法律がないことから、日本・台湾・米国の実例を参考に、それらを政府に提案するために延世大学Dept. of Nursing Environments & Systemsの教員らが主催したものである。日本の実情については、延世大学と姉妹校関係にある聖路加看護大学の小松浩子教授が報告した。このワークショップに同行したので、印象を述べる。
 まず、ホスピスケアを受ける患者の疾患の実情だが、日本は悪性腫瘍が主であるのに対し、その割合が台湾は70%、米国は46%であった。台湾ではホスピスケアについての条例があり、その中には2名の医師が末期状態と診断を下すことが含まれており、ホスピスケアの選択及びDNRの説明と同意、代理意思決定者のリストが文書化されていた。米国では各疾患別に緩和医療の内容についての基準が定められており、ホスピスケアはプログラムと表現され、できる限り在宅で提供されていた。これらの背景には医療の配分やコスト削減が関与していると考えられる。
 これに対し、日本ホスピス緩和ケア協会の基準はWHOの定義に従い、疾病の末期に特定せずむしろ早い段階から適用することを推奨している。治療から緩和へシームレスに移行することは理想であるが、日本では緩和ケア病棟への入院の適応基準及び定額入院料の妥当性が新たな課題となりつつある。
 医療保険や支払い方式は国により差異があり、これらは各国の実情と政策によるところが大きいと思われる。韓国でも緩和ケアは進んできているが、管理上の基準作りや支払い制度などについては、在宅ホスピスケアから着手することを考えていた。
 一方、ホスピス緩和ケアの理念や内容、チームメンバーについては各国で概ね共通していたが、台湾・米国ではスタッフの職務規定や教育プログラムが詳細に明文化されていた。
全体的な印象として、ホスピス緩和ケアを提供する形態は幾つかあるが、いずれにしても国の実情を踏まえながら患者のニーズに応え、医療ケアの質を維持する体制を築くことと経済性の両立の難しさを感じた。

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