Japanese Society for Palliative Medicine
News Letter No.36
日本緩和医療学会ニューズレター
Aug 2007  36
ポスターセッション P2T-1〜P2T-10
終末期ケア(3)
座長・報告 : 岡山済生会総合病院 緩和ケア科  石原辰彦
 当セッションでは終末期ケアにおける様々な問題に関して10題の発表がなされた。
 南生協病院の長江浩幸氏は、フェノバルビタールの少量の持続皮下注射による鎮静は、比較的安全で緩やかな効果が別れの受容の時間を作り、終末期において有用と報告した。
 藤田保健衛生大学の佐々木ひと美氏は、腎尿路悪性腫瘍の終末期について検討し、病期に合わせた適切な治療と疼痛緩和により、闘病期間の95%を自宅で過ごせると報告した。
 小松市民病院の近藤尚美氏は、聾唖でコミュニケーションが難しい患者との関わりの中で、患者の思いを家族とも共有し信頼関係を築くことで外泊を実現した事例を報告した。
 織本病院の荘司輝昭氏は、終末期における透析中止に関する3事例を通して、がんの終末期とは異なった観点における治療中止の倫理的解釈や問題点を報告した。
 日本医科大学千葉北総病院の平田貴和子氏は、一般病棟看護師が看取りに影響を及ぼす要因を分析し、死別体験の有無が抽出され、看護教育において疑似体験などが必要と報告した。
 横浜市立市民病院の国兼浩嗣氏は、肺癌患者の臨床経過から、化学療法の中止やオピオイドの開始からではギアチェンジが遅く、より早い時期に終末期医療への移行を意識する必要があると報告した。
 大津市民病院の羽多野裕氏は、緩和医療における予後予測スケールとして、アルブミンとリンパ球数のみを用いた簡便なPNIが有用であると報告した。
 磐田市立総合病院の中澤秀雄氏は、終末期に麻薬を拒否された例について、娘による精神的支持が疼痛閾値を上げ、イレウスに対する保存的治療が奏功したためと報告した。
 津山中央病院の光吉啓子氏は、一般病棟で短期間に死を迎えた30歳代の患者へのケアを振り返り、カンファレンスや勉強会を通してケアの統一を図り、ユーモアを共有することで信頼関係を築けたことを報告した。
 福山医療センターの徳毛敬三氏は、終末期に血管確保が困難で、患者・家族も輸液希望せず、輸液を行わなかった症例で、亡くなる前日まで良好なQOLであったことを報告した。
 いずれの発表も今後の緩和医療の発展を期待できる充実した内容であった。

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