Japanese Society for Palliative Medicine
News Letter No.36
日本緩和医療学会ニューズレター
Aug 2007  36
ポスターセッション P1U-1〜P1U-9
消化器症状(1)
座長・報告 : 兵庫医科大学外科学講座  冨田尚裕
 緩和医療患者の消化器症状のコントロールをテーマとしたこのセッションでは、8題のうち4題が酢酸オクトレオチド(サンドスタチン)の有用性についての演題で、他、メトクロプラミド(プリンペラン)、ジアゼパムについての演題が1題ずつあった。まず酢酸オクトレオチドについて、千葉市立青葉病院緩和ケアチームからは十二指腸狭窄の1例を除き、消化管閉塞症状のある患者8例中7例で有効、すぎもと在宅医療クリニックからも在宅看取りを行った6例全例で有効との報告があり、長崎大学医学部・歯学部付属病院緩和ケアチームは69例の多数例の検討から上部消化管閉塞や1日2000ml以上の過量輸液の症例では有効性が下がること、ステロイド併用による差がないことなどを報告し、進行がんにおける消化管閉塞症状の改善に酢酸オクトレオチドは有用であるが使用時期、輸液量、ステロイド併用などについては今後の更なる検討が必要とした。山梨中央病院緩和ケア科からも19例中15例(79%)に有効であり、上部消化管閉塞症例には有効性が低いものの、適切な輸液量管理を行えば、オクトレオチドは有用であり、今後多数例での多施設共同研究が必要であると報告された。横浜市立みなと赤十字病院緩和ケアチームは、進行癌患者の慢性的な悪心・嘔吐に対するメトクロプラミド注射剤持続投与について25例中20例(80%)に改善効果があり、有用な治療法であると報告し、聖路加国際病院緩和ケア科は、腹部膨満感の増悪の要因に筋緊張があるとの考えに基づき、約20人の患者にジアゼパムを使用し6割程度の有効率であったと報告した。また厚生連佐久総合病院産婦人科は、腹水管理について、従来の大量を一度に穿刺排液するのは禁忌であるという定説に疑問を呈し、ICを得た産婦人科悪性疾患の腹水患者20例に対し、排液量制限なしの自然流出での全排液の穿刺を合計91回施行したところ、血圧、脈拍、酸素飽和度を含め問題なく、2例に静脈血栓を生じたが保存的に軽快し、本方法が妥当であると報告した。産婦人科領域の女性患者での結果であり、今後更に検討すべき点もあるが、興味深い報告であった。その他、東京都立墨東病院からは、一般病院における消化器症状のコントロールにオピオイド・鎮痛補助薬などに対する知識の普及やチームアプローチが重要であることが報告された。

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