Japanese Society for Palliative Medicine
News Letter No.36
日本緩和医療学会ニューズレター
Aug 2007  36
ポスターセッション P1L-1〜P1L-8
緩和医療システム(1)
座長・報告 : 高知女子大学 看護学部  齋藤信也
 このセッションでは、広い意味での「緩和医療システム」に関する8演題の発表が行われ、活発な討論がなされた。まず、千葉県がんセンターの坂下らは、緩和ケア外来の約1年間にわたる活動を報告したが、がんの専門病院らしく、化学療法中の支持療法を含む症状コントロールがその大きな柱となっていた。次に、筑波大学の浜野らは、オーストラリアの地域緩和ケアネットワークの現状について調査した結果、地域ネットワーク整備への行政の関与が彼の地でかなり強いと発表した。次に、大阪府立成人病センターの赤垣らは、外来通院している患者・家族に対して緩和ケアの認識度、緩和ケア外来の必要性について行ったアンケート調査について発表したが、緩和ケアという概念の認識で、医療者との間に乖離が見られたものの、緩和ケア外来については82%の回答者が、必要であると回答していた。次に、兵庫県立がんセンターの伊藤らは、がん看護専門看護師がフェンタニルPCAに積極的に関わっている現状を報告した。次に、国立仙台医療センターの渡辺らは、宮城県東部地区の訪問看護ステーションに対して、緩和ケアニーズに関するアンケート調査を行った結果を発表した。終末期がん患者、300件以上対応しているステーションがある一方で、基本的な知識向上を望むステーションも多いのが印象的であった。次に、横浜市大の小川らは、自らの緩和ケアチームの活動について、ペインクリニックと併診するシステムが、「緩和ケア」という言葉に抵抗を示す患者も「痛み専門の医師」ということで受け入れられやすいと報告した。次に、南勢地域緩和ケアネットワークの松原らは、同地区での医療機関(含訪問看護ステーション)に対して、アンケート調査を行った。在宅医療支援診療所の指定を受けている施設でも、在宅での麻薬使用が可能なところはごくわずかであることが判明するなど、地域での緩和ケアを推進する上での問題点がいろいろと明らかになった。最後に、花の谷クリニックの芳賀らは、緩和ケア病棟、デイケア、訪問看護という3点セットを自院内に抱えるメリットを生かした看取りについて、12年間のまとめを報告した。現行制度化ではその運営には困難があるものの、利用者にとっては、療養場所にかかわらず同じスタッフに最期までケアをしてもらえるメリットは相当大きいと思われた。まさに、今回の学会総会のテーマである「地域を包む緩和医療」を実践している人々の現場の声が響き合った有意義なセッションであった。

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