Japanese Society for Palliative Medicine
News Letter No.36
日本緩和医療学会ニューズレター
Aug 2007  36
一般演題 口演9
心理、精神症状
座長・報告 : 広島大学病院緩和ケアチーム精神科  小早川誠
 本セッションでは計5つの演題が発表され、最初ははやしやまクリニック梁勝則先生による末期がん患者の自殺企図に関する発表であった。終末期に限らず、一般にがん患者において自殺を予見することは容易ではないが、常にそのリスクが潜んでいることをあらためて考えさせられた報告であった。次は日本赤十字看護大学の佐々木笑先生による再発・転移により通院治療中の乳がん患者の思いに関する報告であった。佐々木先生自身が親身になって面接を行い、そのときに患者から語られた言葉の一つ一つを扱った臨場感あふれる口演であった。「のんきに暮らす」、「普通に暮らす」、「特別扱いされないでいる」という言葉が印象的であった。3つ目は松江赤十字病院の河崎雄司先生による肺がん症例における抑うつと予後の関係についての発表であった。抑うつと予後の関係が結論付けられていない今日において、有意な関連を示唆する貴重な発表であった。症例数が少なく、PSが悪い人が抑うつ群に多かったことから、抑うつが予後に関連した複合因子の一断面を示していた可能性を発表者は想定していたが、今後の同種の研究において勇気付ける結果であった。4つ目の発表は神戸中央病院の新城拓也先生による全国規模で施行された終末期せん妄に関する遺族調査についての発表であった。「痛みなど苦痛が強すぎる」「薬のせい」「昔の思い出を話している」など、家族のせん妄に関する捉え方は多様であり、またせん妄をみることが家族にとって苦痛であったという結果より、せん妄の原因についての家族への適切な説明と症状への対応が重要であると認識させる内容であった。最後は名古屋市立大学佐川竜一先生によるせん妄の発現要因に関する発表であった。せん妄の要因として同定できないものが約2割、単一のものが約4割、2つ以上が4割程度と、せん妄の要因を同定することが難しい場合も多い一方で、要因として頻度の多かったオピオイド、炎症、脱水、電解質異常等についてしっかり評価することが有用であることが話された。今後さらに症例数を増やした結果が楽しみになる発表であった。紙面の都合で十分伝えられないことが残念であるが、各演題とも熱のこもった素晴らしい発表であり、会場の椅子は全て埋め尽くされるほど盛況であった。

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