Japanese Society for Palliative Medicine
News Letter No.36
日本緩和医療学会ニューズレター
Aug 2007  36
一般演題 口演7
告知
座長・報告 : 戸田中央総合病院(現東京農業大学)  中神百合子
 当口演では5演題(2演題重複)の報告がなされた。
 松島たつ子らは、緩和ケア病棟長対象に、終末期における患者の意志決定に関する自記式調査を行った。終末期の治療方針や代理意思決定について、患者から問われなければ触れないし、話し合わなくてもケアに支障なしとする傾向がみられた。家族の存在の大きさ、意思明確化の難しさが浮き彫りにされた。非言語的コミュニケーションの尊重、終末期にいたるプロセスをチームで支援する必要性が話し合われた。
 奥山徹らは、精神的負担開示に関する抵抗感評価質問票を開発し、呼吸器外来に通院する肺がん患者を対象に調査した。医師への配慮、否定的態度、悪影響、ニーズなしの4因子が抽出された。精神的負担の高い群で、抵抗感開示による「悪影響」が優位であった。主治医による研究参加のすすめ、匿名性が保たれないなど調査法が問題視された。
 長井吉清らは、宮城県立がんセンターのQOLデータベースを元に、病名告知によるQOLへの影響を、後ろ向きに検討した。告知とQOLの相関関係がみられたのは胃癌(402症例)だけであり、同疾患では、真実の病名告知群でQOLが高い傾向がみられた。倫理委員会をへていないデータ収集法に問題があると指摘された。
 及川恵子らは、奥州地区の癌患者家族会会員対象に、癌告知に関する患者・家族の意識を調査した。告知環境の不適切さ、同席者不在が双方から問題として挙げられた。家族には、現在・今後の治療方針、在宅での過ごし方を親身に説明して欲しい気持が強かった。コミュニケーション技法をみがく時間的余裕が医師にないという悩みも吐露された。
 小倉笑子らは、思春期にある子供への告知により、一時期在宅療養できた終末期癌患者の事例を発表した。疼痛緩和後に父親の病状説明がなされ、その苦痛を一家で共有し闘病を支援する上で子供の存在は大きかった。しかし、もっと早期からの病状開示がなされて良いとの指摘が多かった。
 日本では、告知における家族の存在は無視できない。伝えることを目的にするのではなく、関係者のこころに配慮した伝え方を習得する必要をあらためて学んだ口演であった。

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