Japanese Society for Palliative Medicine
News Letter No.36
日本緩和医療学会ニューズレター
Aug 2007  36
ランチョンセミナー4
難治性腹水貯留患者への緩和医療
〜腹水濾過濃縮再静注法の有効性〜
演者 : (財)防府消化器病センター 防府胃腸病院 研究所長  松ア圭祐
座長・報告 : 要町病院  吉澤明孝
 難治性腹水は、緩和ケアを行っている医療者にとっては頭の痛い問題である。今回腹水濾過濃縮再静注法(以下CART)の第一人者であり、経験豊富な防府消化器病センター松ア圭祐先生に難治性腹水の対応、つまり穿刺のみ、(デンバー)シャント、CARTそれぞれの利点欠点を踏まえCARTの適応、副作用に対する対応、経済効果にいたるまで、現場で疑問に思われていることをわかりやすく詳細にご講演いただき、会場は朝の整理券配布開始後30分で完売した位の大盛況であり、緩和ケアにおける難治性腹水に対する関心の高さを感じた。CARTを行ったことのある先生方は、患者に濃縮液を戻す時に発熱された経験を持つ方が多いと思う、文献的には、穿刺時間、濾過濃縮時間、注入時間が早すぎて細胞が破壊されIL6が増え発熱するという説が多く、あとエンドトキシン、他のサイトカインによる説が言われている。そのため前処置としてステロイド、解熱剤としてNSAIDSの前投与を行い対応してきたが、松ア先生は濾過するときに内圧濾過でなく外圧濾過にすることで、フィルターが詰まることがなくなり、そのため余分な圧をかけることなく濾過ができることでIL6の増加が抑えられ、実際発熱する例が減ったとご講演されていた。また最後には先生のホノルルマラソン、みちのく100キロマラソンのご経験から沿道の人々の応援に支えられ完走できたことをお話され、緩和ケアの患者さんも同様に、われわれ医療者を含めた周囲の人々の暖かい応援が必要なのだと言われていたのが心に残った。昼の限られた時間だったため質問の時間が十分取れず、終了後濾過濃縮器(クラレ)会社のブースで松ア先生を囲んで質問の輪が2日間にわたって続いていた。緩和で必要な機器のランチョンセミナーは少なく今後積極的にお願いしていくべきだと痛感した。セミナーだけでなく終了後も快く対応していただいた松ア先生に感謝いたします。

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