Japanese Society for Palliative Medicine
News Letter No.36
日本緩和医療学会ニューズレター
Aug 2007  36
ランチョンセミナー3
患者さんと医療者のより良いコミュニケーションのために
演者 : 国立がんセンター東病院臨床開発センター精神腫瘍学開発部 部長/
日本サイコオンコロジー学会 代表世話人  内富庸介
座長・報告 : 国立がんセンター名誉総長/日本対がん協会会長  垣添忠生
 がん患者さんは、がん診断を受けたとき、再発したとき、積極的治療が困難になったときなど、その診療過程で何度も「生存の危機」ともいえるような激しい精神的苦痛を経験しうる。その内容、受け止め方などは患者さん一人ひとりで異なるようだが、患者さん、家族に接する医療従事者、とりわけ医師の果たす役割はきわめて重い。希望につながる医師の一言で奈落の底から立ち上がる患者さんもいれば、心ない医師の態度、一言で、懸命につなぎ止めようとしていた患者さん、家族の微かな希望を打ち砕くことにもなりうる。そして、多くの医師がこのことを深刻に受け止めていない。
 ここに、がん医療に携わる医師向けのコミュニケーション技術訓練の必要性、重要性が浮かび上がってくる。内富先生は、東病院を場にした研究結果に基づき、「SHARE」とまとめられるコミュニケーション上の重要事項を紹介し、悪い例、良い例のビデオを示すなど、わかりやすく紹介した。
 SHAREとは、患者さん、家族に対するSupportiveな場、環境、How to悪いニュースを伝えるか、Additional…追加すべき情報、Reassurance…対話内容の確認と、Emotional support…情緒的支援、を指す。
 悪いニュースを伝えるに際して、患者さんはそうした内容をどう伝えて欲しいか、意向が大きく異なる内容がいくつもある。例えば、余命について、淡々と伝えること、少しずつ小出しに伝えること…などである。こうした微妙な内容を伝えるに当たってのコミュニケーションは双方向性が重要である。患者さん、家族と医師との双方向性のやりとりが絶対に必要で、そのためには特別の訓練が必要である。そのポイントは傾聴と共感にまとめることが出来ると思う。がん医療に携わる医師は、折に触れ、こうした訓練を受けていただきたい、と提言してセミナーは終わった。共催のアストラゼネカ社に感謝する。

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