Japanese Society for Palliative Medicine
News Letter No.36
日本緩和医療学会ニューズレター
Aug 2007  36
ランチョンセミナー2
がん支持医療の新たな潮流
演者 : NTT東日本関東病院 緩和ケア科  堀 夏樹
京都府立医科大学付属病院 疼痛緩和医療部  細川豊史
座長・報告 : 筑波メディカルセンター病院 緩和医療科  志真泰夫
 緩和ケアに支持療法が不可欠なことを実感したセミナーであった。がん支持医療 Supportivve Oncology は1980年代から北アメリカ、少し遅れてヨーロッパ大陸で普及した。その中心は北アメリカではポートニー、ヨーロッパではクラスタスキーらであった。がん化学療法の副作用の緩和から出発したがん支持医療は国際的に緩和ケアの強力な同盟者としてその役割りを果たしている。今回のトピックスは、「消化管閉塞の症状緩和」「有痛性骨転移の症状緩和」である。第1の演者は、泌尿器科医から緩和ケア専門医となった堀夏樹先生(NTT東日本関東病院 緩和ケア科)、第2の演者は麻酔科医として緩和ケアに取り組んでいる細川豊史先生(京都府立医科大学付属病院 疼痛緩和医療部)である。堀は、「食事をすること」「できること」が人間にとって生活の基本的な行為であるという視点から、消化管閉塞の症状緩和にとりくみ、豊富な臨床経験を述べた。そして、そのための薬剤として「酢酸オクトレオチド」の嘔気、嘔吐などの症状緩和の有効性をたくさんの症例からデータとして(およそ60%)を示した。細川は有痛性骨転移成立の機序から説明し、がん細胞、破骨細胞、そこに介在するRANK(Receptor Activator of NK-κB)とRANK-L(= ligand)、PG(Prostaglandin)の役割を説明した。そして、有痛性骨転移の治療は「鎮痛と予防」につきると簡潔に示した。そして、鎮痛と予防の両方に有効な薬剤として「ビスフォスフォネート」について詳しく述べ、とくに最近使用できるようになった「ゾレドロン酸」を高く評価した。そして、講演終了後の質疑に答えて、これひとつで解決するという方法はない、包括的に評価して臨床的に適切な方法(薬物療法、外科療法、放射線治療、リハビリテーション)を組合わせることが重要だと強調した。聴衆を飽きさせない熱のこもった講演であった。

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