Japanese Society for Palliative Medicine
News Letter No.36
日本緩和医療学会ニューズレター
Aug 2007  36
ランチョンセミナー1
実践!がん患者の栄養管理と疼痛管理
演者 : 藤田保健衛生大学  東口志
座長・報告 : 熊本労災病院  小川道雄
 東口先生は、緩和医療に代謝制御を積極的に取り入れておられる。栄養管理はすべての医療の基本であり、その原則は癌終末期でも全く同じである。栄養療法の重要性、特に口から食べて癒すことが、いかに癌患者の予後やQOLの改善に役立っているかが、東口先生の自験例の解析によって示された。
 筆者が医師になった頃は、免疫能を直接示す指標がなかったこともあるが、「免疫は栄養である、栄養状態が良ければ免疫能は良好である」と教育を受けた。これが東口先生のデータ、終末期癌患者の在宅医療への移行率や余命の延長で確認された、と感じた。経口摂取を中心とする栄養補給を行うために、多職種でチームをつくって実施するための栄養サポートチーム(Nutrition Support Team:NST)の癌終末期医療に対する貢献は、大きいといえる。ともすれば、癌の終末期医療イコール疼痛緩和医療と考え、経口摂取が少しでも障害されると、すぐに経静脈投与に切りかえようとする傾向がまだ残っているが、これを考えなおす必要がある。近年のNSTの設置がそれを押しすすめるだろう。
 一方では、また、癌患者の疼痛に対して積極的に除痛を行わないと、栄養管理を積極的に行うことは不可能である。疼痛制御にWHOの5原則がようやくわが国の臨床現場で広く用いられるようになった。第3段階(広く第2段階にも)のオピオイドとして、オキシコドン徐放錠が用いられてきたが、最近、オキシコドン速放散剤も使用できるようになった。有効成分や投与経路が同一の薬剤なので、突出痛のレスキューとして使用しやすい。また、アップタイトレーションも、レスキューとしての使用量から簡単に決めることができる。本講演でもアップタイトレーションの方法や、このような利点について触れられた。
 終末期癌患者に対して栄養管理と疼痛管理が一体となることにより、はじめて余命やQOLを改善することができる。それには、「癒されていることを感じることができる環境(癒し環境)づくり」が極めて重要である、という結論が印象的であった。

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