Japanese Society for Palliative Medicine
News Letter No.36
日本緩和医療学会ニューズレター
Aug 2007  36
ワークショップ9
悲嘆のケア
座長 : ピースハウス病院  二見典子
座長・報告 : 関西福祉科学大学健康福祉学部健康科学科  坂口幸弘
 本ワークショップでは、緩和ケアの重要な働きの一つである家族・遺族の悲嘆へのケアについて、6つの研究・実践報告が行われた。いずれも日頃の臨床活動と直接的に結びついた報告であり、満席状態のなか、参加者は熱心に聞き入っておられた。
 静岡がんセンター研究所の青木睦恵氏は、成人患者の子どもへのチャイルドライフスペシャリストを中心とした介入に関する実践報告を行い、遊びを通して築く子どもとの信頼関係の重要性を指摘された。元慶應義塾大学看護医療学部の廣岡佳代氏は、大切な人を亡くす子どもへのケアについて質的研究を行い、看護師の視点から、子どもとの信頼関係の構築や子どもが過ごしやすい環境づくりなど看護師の積極的な関わりの必要性を示唆された。JA広島総合病院の小松野明美氏は、遺族からの返書の内容を分析し、患者の入院中の穏やかな生活や安らかな最期が、遺族の立ち直りの助けになることを示された。中津胃腸病院の野間清子氏は、院内の家族ケアの取り組みとして、家族の想いの表出を促すナラティブアプローチを心がけた看護師の関わりや、家族会の開催について報告された。佐世保中央病院の福田富滋余氏は、急性期病院での遺族ケアとして「遺族会」を開催し、参加者数は必ずしも多くはなかったが、「同じ思いで生きていておられると勇気をもらえた」など肯定的な感想がみられたと報告された。四国がんセンターの三瀬由香氏は、看護師を対象にアンケート調査を実施し、終末期患者の家族ニーズに関して看護師は理解しているものの、「家族メンバーより慰めと支持を得たい」など一部の家族ニーズに対しては支援できていないと認識していることを示された。
 近年、家族・遺族の悲嘆とそのケアへの関心は高く、本学会でも発表数は着実に増加してきている。本ワークショップでは、子どもを対象とした悲嘆のケアや、急性期病院での悲嘆のケアに関する発表が複数あり、緩和ケアにおける家族・遺族ケアの拡がりと充実を強く印象づける内容であった。

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