Japanese Society for Palliative Medicine
News Letter No.36
日本緩和医療学会ニューズレター
Aug 2007  36
ワークショップ4
骨転移と呼吸困難
座長 : 独立行政法人 国立病院機構西群馬病院  斎藤龍生
座長・報告 : 静岡がんセンター緩和医療科  田中桂子
 通路に座ってもぎゅうぎゅうに立ち見しても会場に入り切らない程多くの参加者が集まり、臨床現場での対応の困難さと関心の高さがうかがわれたワークショップであった。
 前半「呼吸困難」では、小原弘之先生より、フロセミド吸入による呼吸困難の改善効果について生食を対照においた単盲検RCTの結果が発表された。有意差を示すことはできなかったが、利尿効果ではなく局所気道への作用が指摘されており今後特定の病態にしぼった検討が必要とのことであった。「ある治療が有効である」というエビデンスを示すことは非常に困難であるが、適切な研究方法にのっとった質の高いプロトコールの多施設共同研究が今後さらに進むことを期待したい。一戸由美子先生からは、重篤な呼吸困難のある特発性間質性肺炎の終末期患者を、不安に対するSSRI投与・呼吸リハビリ・タッチングなどで対応して在宅療養継続できた症例が報告され、多職種チームで係わることの重要性が示された。
 後半「有痛性骨転移」では、手術・放射線治療・ビスホスホネ?ト薬剤の適応について論議された。整形外科の澤村明廣先生からは、特に四肢近位部病的骨折に対しては予後が厳しくても積極的に手術的骨接合術を行なうことで、疼痛のみならず体動制限が著明に緩和されQOLが維持できることが強調された。放射線治療科の清水わか子先生からは、最新知見の簡単なレビューがなされ、治療範囲・部位だけでなく照射線量や分割回数、照射方法について、個々の症例ごとに十分な検討が必要であることが強調された。内科の渡邊紘章先生からは、肺癌骨転移に対するゾレドロン酸使用経験が報告され、乳癌・前立腺癌と異なり経過が比較的短い肺癌患者に対するビスホスホネ?ト薬剤の適応について議論された。有痛性骨転移の治療は、このように多種の専門医が係わるため、チームカンファレンス(地域での病院連携カンファレンスも含めて)の重要性が改めて実感させられた。また、齋藤理恵先生からは、開口障害の原因が高位頚椎の病的骨折であった進行胃癌症例が報告され、適格な診断が適切な治療とQOLの改善につながることが示された。

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