Japanese Society for Palliative Medicine
News Letter No.35
日本緩和医療学会ニューズレター
May 2007  35
学会印象記
コミュニケーション・スキルトレーニングのファシリテーター講習会を終えて
国立病院機構 仙台医療センター 総合診療科/緩和ケアチーム  高橋通規
 私は昨年上司の勧めで、がんセンター東病院で行われたコミュニケーション・スキルの講習会(以下、CST)に参加させていただきました。扱われたスキルは、"日本人の"がん患者さんの意向に配慮しており、興味深いものでした。驚いた事に、受講後しばらくして、患者さんや病院スタッフとの関係等、自分の周囲の何かが良い方向に変わるのを感じました。スキルは4つのカテゴリーに分かれ、頭文字からSHARE protocolと名付けられています(S:supportive environment;支持的環境設定、H:how to deliver the bad news;悪い情報の伝え方、A:additional information;付加的情報、RE:reassurance and emotional support;安心感と情緒的支援)。悪い情報を伝えるスキルでは既にSPIKES(MD Anderson Cancer Center の Baile教授ら)が有名ですが、SHAREは"日本人"の情緒面(患者のみならずこのコースの学習者、ファシリテーターまでも!)に配慮している点が画期的です。今回、中心となって企画されている内富庸介先生からのお誘いがあり、CSTファシリテーター養成講座を受講させていただきました(参加者は臨床心理士2名、精神科医2名、外科医2名、腫瘍内科医1名、血液内科医1名の計8名)。講習会はがんセンター東病院で行われ、昨年12月から3ヶ月にわたりました。学習法は受講者もファシリテーターも学ぶlearner-centered theoryで、ロールプレイ上でフィードバックによって身につけるという手法です。すべての参加者に何かが身につく感覚や講習会参加者の気持が一つになっていく過程が心地良く感じられました。計30時間超もの間、労を惜しまず支えて頂いたスタッフやSPの皆さん、そしてファシリテーターのファシリテーターという複雑な状況で暖かく支援してくださった先生方に感謝すると同時に、今後微力ながら恩返しをさせていただければと考えています。がん診療では、患者さんやご家族、医療者は困難な状況にしばしば直面します。このスキルによって1人でも多くの方が救われる事を望みます。

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